COLUMN コラム

【不動産市況編③】茂原市

【不動産市況編③】茂原市

千葉県の外縁部は内海(東京湾)と外海(太平洋)に囲まれた袋状の地形(半島)になっているため、県内には海に面する市町村が多くあります。

その中で「茂原市」は、千葉県の内陸部にあって海に面しておらず、周りは実に「8つ」もの自治体(千葉市緑区、市原市、大網白里市、白子町、長生村、睦沢町、長南町、長柄町)に囲まれている全国でも珍しい自治体です。

今回の記事では、茂原市の不動産市況について簡潔にまとめました。

なお、記事ではわかりやすさを重視してまとめておりますので、当然ながら個別の不動産の状況により内容は異なります。詳細をお知りになりたい方は、お気軽に「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。

茂原市の住宅地

まず、茂原市の住宅地では、千葉県が本来持ち合わせているアドバンテージである地勢による「住みやすさ」が注目されます。

特に、市の中心部であるJR外房線「茂原」駅周辺や大型商業施設への接近性に優る住宅地、区画の整った地域内の住宅地などは、良好な利便性・住環境を背景として、地元関係者や千葉方面への通勤者を中心に安定的な需要があります。

JR外房線「茂原」駅


マクロ経済では新型コロナウイルス感染症や原油高、ウクライナ情勢等の影響により景気の先行きに不透明感が漂っているものの、住宅ローン減税や低金利政策等の住宅需要のサポートも相俟って、民間開発業者などによる宅地開発需要も堅調で、土地価格水準は規模等によりバラツキはあるものの、中心部では概ね坪10万円~15万円程度が取引の中心となっています。

一方、市内3駅のうち、JR外房線「茂原」駅の北部にあるJR外房線「新茂原」駅と「本納」駅周辺では需給関係が均衡し、住宅地の土地価格は概ね横ばいで推移しています。

成約取引事例、地元不動産業者へのヒアリング等を総合的に鑑みると、「新茂原」駅周辺で坪9~12万円程度、「本納」駅周辺では房総豪雨で一部床下浸水した地域がみられたものの、概ね坪5~8万円程度が取引の中心となっています(一部では坪10万円に近い取引事例もみられます)。

JR外房線「新茂原」駅


JR外房線「本納」駅


この他、本納地区では「(仮称)本納ニュータウン」(全体約 27 ㏊、全248 区画)の開発が進捗しています。

現在は宅地造成開発工事が進んでおり、第1工区(建売4㏊)の内、6区画について令和3年4月頃から分譲が開始されました。最終的には宅地のほか、野球場3面を整備する計画となっています。

(仮称)本納ニュータウン

茂原市の商業地

茂原市の商業地については、市を南北に走る国道128号(茂原バイパス)沿いには「茂原マーケットプレイス」「茂原セントラルモール」、市を東西に走る県道84号(茂原長生線)沿いに「茂原ショッピングプラザアスモ」「ライフガーデン茂原」などの大型商業施設が市の中心部に相次いで開業し、市民に対する生活利便施設として重要な役割を担っています。

茂原ショッピングプラザアスモ(平成元年開業)


茂原マーケットプレイス(平成13年開業)


茂原セントラルモール(平成19年開業)


ライフガーデン茂原(平成26年開業)


相対的に繁華性の高い中心部と比較し、市北部は比較的人口が少ない地域ですが、国道128号沿いにはスーパー、ドラッグストア、ホームセンター、農産物直売所、家具量販店などの周辺住民向け生活利便施設が多数整備されています。

旬の里ねぎぼうず(平成16年開業)

※上記写真は本納地区にある本納バイパス背後の農産物直売所。地元住民の人気店で2号店もオープンした。

一方、大型ロードサイド店舗の進出に伴い、相対的にかつての商業の中心部であったJR外房線「茂原」駅前の繁華性の低下がみられ、公示価格(茂原5-1)では平成27年以降、横ばいが続いています。

JR外房線「茂原」駅南口


JR外房線「茂原」駅北口


ただし、JR「茂原」駅南口広場では、「イオン茂原店」跡地にてイオンモール(食料品店舗を核とする鉄骨造平家建、約 2,000 ㎡を予定)やビジネスホテル(10階建を予定)、平面駐車場約 145 台等の建設が予定されており、駅前商況の回復に伴う地価への好影響が期待されます。

イオンモール・ホテル等開発予定地

新型コロナウイルス感染症の影響

茂原市の住宅地、商業地(大型ロードサイド店舗を中心に)ともに、土地価格水準からみると県内他市と同様に新型コロナウイルス感染症の影響はみられず、地価公示・地価調査等の公的価格にも影響はありませんでした。

筆者も多数の取引事例及び不動産業者等へのヒアリング等により確認しましたが、ファミレスなど一部の飲食店では営業自粛などの影響がみられたものの、上記のようなスーパーを核とした近隣住民向け大型店舗では、平日昼間も人が多く、業種によるものの総じてテナント売上への影響は限定的とみられるほか、特に近年開業したライフガーデン茂原ではむしろ周辺の住宅地の地価に好影響を与えています。

なお、茂原市内のロードサイド店舗では、地価公示(※)も上昇傾向で推移しています。

(※)茂原5-3(小林)は+0.4%、茂原5-4(木崎)は+0.3%。共に令和4年地価公示の変動率。

房総豪雨による一宮川氾濫

なお、令和元年10月25日に発生した房総豪雨による一宮川氾濫(※)により、茂原市の八千代地区、長清水地区を中心に床上浸水した水害地域に対しての需要者の土地不選別化が継続的に進んでおり、床上浸水した地域では需要低下が認められます。

(※)一宮川流域における浸水被害の概要:浸水面積約1,760ha、浸水家屋約4,000戸ほか。地価公示では茂原-1(長清水)、茂原5-2(八千代)に影響がみられた。

ただ、同被害を受け、千葉県では同規模の降雨に対して、家屋や主要施設の浸水被害ゼロを目指し、令和11年度末までに、流域市町村が行う内水対策や土地利用施策と連携した「一宮川流域浸水対策特別緊急事業」を実施しています。

また茂原市においても、排水ポンプの整備及びため池を活用した流出抑制などの内水対策を実施していることから、今後は当該事業の進捗により地価下落への影響は徐々に緩和していくものと予測しています。

一宮川氾濫対策 河川改修工事(八千代橋付近)

茂原市の令和4年地価公示の概要

茂原市の令和4年地価公示は以下のとおりです。概観するとロードサイド店舗地の地価は上昇し、房総豪雨で床上浸水の被害のあった地域は住宅地・商業地共に下落し、その他の住宅地、商業地は横ばいで推移しています。

区分標準地所在価格(円/㎡)変動率(%)
住宅地茂原-1長清水1730,100-2.0
茂原-2萩原町1-3736,300±0.0
茂原-3道表2-1739,700±0.0
茂原-4長尾2333-1429,200±0.0
茂原-5東茂原13-10322,900±0.0
茂原-6下太田80-1ほか11,500±0.0
商業地茂原5-1千代田町1-4-2106,000±0.0
茂原5-2八千代2-12-10ほか41,300-2.1
茂原5-3小林2003-1ほか48,200+0.4
茂原5-4木崎305-9ほか35,500+0.3
令和4年度 茂原市地価公示 価格一覧


<不動産市況編>
【不動産市況編①】千葉県
【不動産市況編②】千葉駅西口
【不動産市況編③】茂原市

<オフィス市況編>
【オフィス市況編①】千葉県
【オフィス市況編②】千葉駅
【オフィス市況編③】船橋駅
【オフィス市況編④】幕張新都心

CONTACT
お問い合わせ

相談のご予約や当社へのお問い合わせは、
以下よりお気軽にご連絡ください。