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【オフィス市況編④】幕張新都心

【オフィス市況編④】幕張新都心

幕張新都心は、千葉県内では最も大型のオフィスビルが集まっているエリアです。

超高層建築物が多く各階のフロアも大きいため、賃貸床の大規模な供給が可能です。このため、「千葉で大きなオフィスフロアを借りたい」という場合、まず第一候補に幕張新都心が挙がります。

幕張新都心にはバブル後期に竣工したビルが多く、ビルのグレードが高い割に、オフィス賃料はアッパーで坪1万円強と東京よりも手頃です。

また、幕張新都心は複数の再開発が同時進行しており、「開発が続く街」として県内でも注目を集めているエリアです。

今回は幕張新都心のオフィス市況について解説していきます。

幕張新都心のオフィス需要の特徴

幕張新都心は東京都心から比較的近いという立地にも恵まれ、オフィスの賃貸需要、取引需要の双方がみられます。

本章ではオフィスの賃貸需要、取引需要について各々解説していきます。

オフィス賃貸需要

幕張新都心は東京都心との距離が手頃であり、千葉県内へのアクセスも充実しているため、東京を本社、千葉を支社とし進出してくる企業のほか、県内企業の賃貸需要が見られます。

イオン本社もありますし(旗艦店である国内最大級の「イオンモール幕張新都心」も近い)、イオン系列のテナントも見られることも特徴です。

一昔前ならZOZO、大塚家具なども入居していましたし、今でもNTTやウェザーニューズなど日本の名だたる企業も見られます。行政関係では千葉県、千葉市やURなども入居しています。

また、基本的には大規模なオフィスフロアを供給できることが幕張新都心の売りですが、小さく区画割りしてベンチャー企業も受け入れるなど、柔軟な運営がなされています。

最近の動向としては既存テナントの館内増床、県内からの移転が中心となっています。

オフィス取引需要

幕張新都心ではオフィスの取引需要も旺盛です。

J-REITや私募REIT、外資系私募ファンドなど、不動産証券化の対象となるようなオフィスの取引が多いことも特徴です。

JR京葉線「海浜幕張」駅周辺の商業施設(aune、スークなど)のほか、同エリアの代表的なオフィスビル「ワールドビジネスガーデン」なども証券化対象不動産として取引されています(持分90%を三井不動産からPAGが取得)。

オフィス取引は新型コロナの影響で一時停滞したものの、今では取引利回りが再び低下傾向に転じていますので、取引価格はやや上昇傾向にあります。

【参考】 一般財団法人日本不動産研究所 不動産投資家調査

幕張新都心の住宅ニーズの特徴

幕張新都心のコンセプトは「未来都市」。同都市は「職・住・学・遊」の一体的な集積を目指しています。

このため、幕張新都心ではオフィスのほか、住宅についてもきちんと区画割され、計画的に供給されています。

首都圏のベイタウンには、東京都の「お台場」、神奈川県の「横浜みなとみらい」、そして千葉県の「幕張ベイタウン(幕張ベイパーク)」の3つがありますが、地価は幕張が最も低くなっています。

このため、その他のベイタウンに比べて住居費が手頃であり、東京都心や千葉方面にも通勤可能な新築分譲マンションが4000万円台で購入できるため、若いファミリー層の入居が多く見られます。

新しくできた街で綺麗であることに加え、付近には「三井アウトレットパーク幕張」もありますから、低価格でおしゃれも楽しめます。

三井アウトレットパーク幕張

タワーマンションから東京湾も一望できますし、昨今ではテレワークの浸透により、東京都心からの引っ越してくる世帯も見られます。

幕張新都心の住宅エリアは既存の「幕張ベイタウン」のほか、新しく「幕張ベイパーク」を開発中です。

幕張新都心のオフィス賃料相場

幕張新都心には、同エリアのランドマークとなる2つの超高層オフィスビルがあります。

一つはJR京葉線「海浜幕張」駅北口にある「幕張テクノガーデン」、もう一つは同駅南口にある「ワールドビジネスガーデン」です。

幕張テクノガーデン

ワールドビジネスガーデン

2つのビルは竣工時期もほぼ同じですし、オフィス賃料水準もほぼ同じ。幕張新都心のオフィスでは最も賃料の高いビルです。

幕張新都心のオフィス賃料水準をまとめると以下のとおりです。

オフィスビルの立地賃料水準(共益費込)
JR「海浜幕張」駅至近坪1.0万円~坪1.1万円
JR「海浜幕張」駅から半径400m~500m坪0.8万円~坪0.9万円
JR「海浜幕張」駅から半径700m~800m坪0.7万円~坪0.8万円
賃貸事例・業者ヒアリングを元に(株)中田不動産鑑定が作成


※賃料水準は個別ビルにより異なりますので、詳細を把握されたい方はご相談ください。

ビルの竣工年はほぼ同じですから、JR京葉線「海浜幕張」駅からの距離により、概ねの賃料水準を区分することができます。

ここ10年ほど幕張新都心のオフィス賃料相場は概ね安定しています。直近ではワールドビジネスガーデンからZOZOが退去(西千葉へ移転)、一昔前なら大塚家具の撤退など、大規模な退去が複数回見られましたが、賃料水準のアップダウンはほとんどなく安定しています。

また、幕張新都心には地域冷暖房熱源があり、空調料金(共益費)がやや高いことも特徴です。

幕張新都心の新型コロナのオフィスマーケットへの影響

幕張新都心では新型コロナ前後でオフィスの空室率、賃料水準はほとんど変化していません。

コロナ禍のオフィス賃貸ニーズとしては、テレワークが普及したことにより減床も一部見られたものの、その後、東京本社のバックオフィス、シェアオフィス需要も見られるようになり、新たな需要も見られることから、総じてオフィス賃貸需要は乱れることはありませんでした。

駅至近あるいは駅から半径500mの範囲内であれば、コロナ禍であっても稼働率は概ね90%程度と高い稼働率を維持しています

幕張新都心の再開発事業

幕張新都心は開業した直後にバブルが崩壊したため、一次は「ゴーストタウン」と揶揄されることもありました。

また、湾岸部の埋立地であるが故、東日本大震災でも液状化の被害を受けるなど(※筆者も不動産鑑定士として視察に行き、被害の大きさを目の当たりにしました。)、過去には多くの試練があったものの、幕張新都心は尽きることなく開発を続けてきました。

※震災でもむしろオフィス運営の対応が良く、テナントからの評判を上げ、稼働率を上昇させたビルも見られました。

周辺ではJR京葉線「幕張豊砂」駅が2023年春に開業予定です。同駅前には「イオンモール幕張新都心」がありますから、店舗の売上は間違いなく高まるでしょう。

その他、JR京葉線「海浜幕張」駅前の商業施設「メッセ・アミューズ・モール」も建替が予定されており、2027年には23階建のホテル、商業施設に生まれ変わります。

メッセ・アミューズ・モール

また、同駅南口には新しいホテルも開発中です。

(仮称)海浜幕張ビジネスホテル計画

さらに住宅地では、最終的には1万人が居住する首都圏最大級の分譲地になる「幕張ベイパーク」があります。

幕張ベイパークでは現在2棟のタワーマンションが竣工していますし、その他のタワーマンションや老人ホーム、店舗などの開発も順次進んでいますから、今後も人の流入が続く見込です。

幕張ベイパークに建設中のタワーマンション

不動産価格は人の流入と相関関係があります。人の流入の増加は、オフィスや店舗にとっても好影響を与えるでしょう。

幕張新都心は開発・発展が続く街として、今、再び県内で注目のエリアとなっています。

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