COLUMN コラム

【オフィス市況編①】千葉県

【オフィス市況編①】千葉県

千葉県にはオフィスビルが多くありません。

その理由は、千葉は大都市東京に近接しているため、県民の多くは東京のオフィスに通勤しているからです。

だた一方で、「大都市東京に近いことは強み」でもあります。それはベッドタウンとしての住宅市場のみならず、オフィス市場も例外ではありません。

東京からちょうどいい距離にあることで、東京本社の「支店」として、千葉にオフィス拠点を構える企業が一定数見られるからです。

「対東京、対県内の商圏」があること。

これは他県には類を見ない千葉の大きなポテンシャルになっています。

今回は千葉のオフィス市場について書いてみました。もしご興味がありましたらお付き合いください。

千葉のオフィス市場全般

千葉でもリートをはじめ、外資系ファンドなどの投資需要が認められるようになりました。

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また県内では投資対象の分散化が進んでいます。東京のベッドタウンとしての需要が堅いレジデンスは安定していますし、東京に比べて相対的に地価が割安で地域的な有利性のある物流は需要が非常に高い状況です。

千葉にはオフィスの総数は少ないものの、昨今では外資系を含めた大手資本による取引・引き合いがチラホラ見られるようになりました。

その理由として、東京都心部に需要が集中し投資物件が少なくなる中で、地方にも本格的な資金投入を目論んでいる企業も見られるためです。昨今はシンガポールや香港などの東南アジア系も新たな投資先として地方都市にも目を向けています。

千葉には千葉駅周辺、海浜幕張、船橋市、柏市などのオフィスエリアがあります。

これらの主要地域の空室率に大きな変化はないものの、特に船橋市はオフィス拠点として最も選好性が高くなっています。千葉駅周辺では、機関投資家というよりも10億円未満の物件を取得する国内富裕層や、アジア系のインバウンド投資も見られます。

一方、県内に共通して駅からやや距離のあるエリアの空室率は相対的に高く、慢性的に募集床が見られる状況です。

賃貸市場・利回り市場

続いて千葉県内の賃貸市場と利回り市場について簡単に見ていきます。

賃貸市場

千葉の賃貸マーケットは東京の影響を受けています。例えば「東京ではオフィス賃料が高くなってきたので、千葉県でオフィスを探す」というようなケースです。

基本的には東京都心部の賃貸需要が、千葉県内に遅れて広がります。

前述したとおり、千葉にはオフィスビルの新規供給はほどんどありません。そんな中、県内で最も賃貸需要が強いのが「船橋」駅周辺です。

船橋には事務所利用に純化したビルは少ないものの、東京からの距離や県内各地への営業拠点としての距離が手頃です。地理面・交通面で優位性があり、相対的に企業の立地意向が強くなっています。

今はコロナの影響で賃料上昇こそ見られないものの、特に駅前フェイスビルでは近年「空室が出れば短期で埋まる」というタイトなマーケットが続いています。

このように空室が少なくなると、テナント企業は条件に合う物件を見つけにくくなります。これが立地や規格が劣るビルでオフィスを確保する動きにつながり、これまで人気が薄かった地域にも需要があふれ出す、という需要を生み出します。

船橋駅周辺以外の海浜幕張、千葉、柏などのオフィスでは、今のところ、船橋ほどのポテンシャルはありません。

これらのエリアは現在はコロナの影響もあり先行きが不透明なことも加わって、比較的低額で成約したテナントに対し契約改訂時に増額交渉がなされる程度ではないでしょうか。

千葉駅から徒歩10分圏内の築浅オフィスビルは、稼働率・賃貸需要は近年はおおむね安定しています。例えば2013年秋に竣工した千葉駅西口再開発ビル「ウェストリオ」は、当初の募集賃料をやや減額することで稼働率を向上させたという経緯があります。

海浜幕張は東京都心の賃料上昇からくる移転需要が見られた時期もありましたが、最近は大型テナントの撤退もあり、賃料水準の乱れも懸念されたものの、今のところ賃料水準に大きな変化はないようです。

最後に県内主要都市の賃料水準の目安をまとめておきます。

船橋駅周辺フェイスビルで坪2万円以上、駅北口で坪1.2万円~1.5万円、駅南口から14号までは坪1.2万円程度、14号沿いで坪1万円程度、14号より以南は坪8000円程度。
千葉駅周辺センシティで坪2万円近く、14号沿いで坪1.2万円程度、駅前大通り沿いで坪1万円程度、その他駅から離れたエリアでは坪5000円~8000円程度。
海浜幕張駅周辺駅前のテクノガーデン、ワールドビジネスガーデンで坪1万円程度、その他のビルは坪7000円~8000円程度。駅から離れるにつれて賃貸需要も弱くなる。
柏駅周辺駅周辺で坪1.2万円~1.4万円程度。柏駅周辺は古くからの地権者の所有するビルが多く、市況に変化があっても募集賃料を値下げする動きはあまり見られない。


※個別物件毎に状況は異なりますので、あくまで参考程度でお願いします。

利回り市場

ますは比較のため、東京都心部のオフィス利回りに目を向けてみます。

コロナの影響、テレワークの進行などの懸念材料もあり、東京都心部でも足元では利回り低下も底を打ちましたが、旺盛な資金需要を背景に、特に近年は証券化の対象となるような不動産の価格上昇が顕著でした。総じて、東京オフィスの利回り水準は下限値にあります。

※「利回り=賃料÷価格」という関係にあり、価格が上昇すれば利回りが低下します。

一方、地方都市では東京都心部と比較すると高い利回りが狙えます。

このため、東京都心部では実現できない高利回りを求め、千葉県でも大手資本による高額な取引・引き合いも見られるようになり、需要の高まりから近年は取引利回りは低下してきました。

ただ、地方都市のオフィス供給には限りがありますから、個人的には投資先が狭くなっている印象を受けています。

なお、一般財団法人日本不動産研究所の調査による「不動産投資家調査」では、地方都市のオフィス利回りは全国的に下げ止まっていますし、千葉においても同様です。

まとめ

いかがだったでしょうか。少なからず千葉のオフィス市場の考え方が伝わったのかなと思います。

今はコロナによるテレワークの推進なども懸念されますが、サテライトオイフィス(本拠地から離れた所に設置されたオフィスのこと)などの需要が高まっています。

オフィス市場もこのような実需に基づき柔軟に対応するなど、長期的な視点で取り組むことで、コロナの荒波も乗り越えられるのかもしれません。

最後に、今回の記事はあくまでわかりやすさを重視した総論です。個別のエリアの賃料水準、利回りなどの情報をお知りになりたい場合、「問い合わせフォーム」よりご連絡いただければと思います。

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●編集後記

コロナ第5波で外出もできず、皆様ご自宅で過ごす時間が増えていると思います。今週から1週間程度は全国的に雨が続くようですし、なかなか気分もすっきりしませんね。
食事、睡眠に気を付けて免疫力を高めるなど、皆様、くれぐれもお身体に気を付けてお過ごし下さい。

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