TSMC(台湾にある世界最大の半導体製造企業)の熊本工場が完成しました。2月24日に行われた開所式には、トヨタ会長や、ソニーグループ会長らそうそうたるメンバーが顔をそろえ、盛大に行わました。
政府はTSMCへの支援として総額1兆2000億円余りを予定しており、これは日本が米国やドイツを上回るスピードで半導体産業への支援を実行していることを示しています。TSMC熊本工場の開設に続き、第2工場の建設計画もあります。
TSMC関連の動きは、日本が世界トップレベルの半導体製造国を目指す上での重要な一歩となっています。TSMCと日本のラピダス(半導体メーカー)が切磋琢磨し、世界最先端の技術を競う展開は、日本経済にとって非常にポジティブな影響をもたらすでしょう。実際のところ、半導体関連企業の株高が先日の日経平均株価の史上最高値を牽引しています(残念ながら私は買っていませんでしたが)。
本ニュースを受けて、私が特に注目したいのは、この大規模な半導体工場が地域経済に与える影響です。
農地を宅地に開発することで、新たな住宅地が生まれ、新駅の開業も予定されています。この新駅は豊肥本線三里木―原水間のほぼ中間に設置され、TSMC熊本工場にも近い位置にあります。駅舎の建設や鉄道施設の整備には約10億円が見込まれ、半導体工場の建設が地域のインフラ整備にも貢献していることを示しています。
さらに、専用人材の賃金上昇や、周辺地域への経済効果の波及、雇用の増加による住宅地需要の高まりなど、経済的な恩恵は計り知れません。地価調査では、TSMC工場建設により大津町の商業地の地価上昇率が全国1位になったことも報告されています。これは、大規模な半導体工場が地域経済を潤す典型例と言えるでしょう。
TSMCは、2022年12月にも静岡県に巨大な半導体製造工場(ファブ)を建設する計画を発表し、大きく報道されました。私も当時の記事にも書いていますが、かねてから注目していたTSMCの進出を受け、日本の半導体産業の未来に希望を感じます。
それと同時に、地域社会への影響、特に地域経済へのポジティブな効果についても大いに期待しています。不動産市場における地価の上昇や新たな住宅地の開発は、地域コミュニティに新しい活力をもたらすでしょう。このような大規模プロジェクトが、技術的な進歩だけでなく、地域社会の発展にも貢献することを願ってやみません。
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