COLUMN コラム

半導体の需要増加が与える影響

半導体の需要増加が与える影響

私は今、不動産鑑定士として働いています。しかし、それ以前は、システムエンジニアとして働いていました。私が勤務していたシステム開発会社には半導体部門もあり、半導体と密接に関わっていました。

半導体は、スマートフォン、パソコンから電気自動車まで、現代のテクノロジーを可能にする技術ですが(詳細は後述します)、半導体は、私たちの生活のあらゆる面で使用されています

そこで今回は昨今需要が伸びている半導体について、半導体と不動産がどのように結びついているか、私の視点から解説してみたいと思います。

半導体とは

半導体は、その名が示す通り、電気を伝える能力が導体(金属など)と絶縁体(ゴムなど)の中間の物質を指します。その特性は、環境の変化(温度、光、電気圧力など)に応じて、その伝導特性を変更できることです。

最も一般的に使用される半導体材料はシリコンであり、他にもゲルマニウムや、より最近ではガリウム砒素なども使用されます。これらの半導体は、トランジスタ、ダイオード、集積回路(IC)など、我々の生活を便利にするための多くの電子デバイスの製造に不可欠です。

半導体の需要が増えてる理由

近年、半導体の需要は急速に高まっています。その主な理由としては以下のようなものが挙げられます。

●デジタル化の進行
スマートフォン、パソコン、サーバーなど、デジタルデバイスの需要が増大し、それぞれが半導体に大きく依存しています。

●IoT(モノのインターネット)の普及
多くのデバイスがネットワークに接続され、互いに通信することで我々の生活を豊かにしています。これらのデバイスは全て、センサーやプロセッサーといった半導体技術を用いています。

●自動車産業の電子化
自動運転や電気自動車(EV)の進化に伴い、車はかつてないほど多くの半導体を使用するようになりました。

半導体と不動産

現在の私の専門領域である不動産と半導体がどのように結びついているか疑問に思われるかもしれません。半導体製造には、巨大な「ファブ」と呼ばれる製造施設が必要で、その設置は必然的にその地域の不動産市場に影響を与えます。

新しいファブが設立されると、その地域の経済発展に大きく貢献します。なぜなら、新たな雇用が創出され、その結果として住宅や商業施設の需要が生じるからです。これが、直接的に不動産価格と地域経済に影響を与えています。

代表的な例としては、台湾の半導体製造大手であるTSMC(台湾積体電路製造公司)が静岡県に巨大な半導体製造工場(ファブ)を建設する計画を発表したことが挙げられます。これは、2022年12月に報道されたもので、日本国内では大きな話題となりました。

このプロジェクトは、半導体の世界的な供給不足と、半導体製造の地域多様化の需要に対応するためのものでした。TSMCの新たなファブの建設により、地元経済に大きな影響が見込まれます。それは新しい雇用の創出、不動産需要の増加、そして地域の経済活性化をもたらす一方で、日本の半導体産業における地位の向上をも意味しています。

この例は、半導体産業と不動産市場がどのように密接に結びついているかを示す典型的な事例と言えるでしょう。

未来への期待

私の現在と過去の職業が交差する視点から見ると、半導体の需要が増大することは、不動産市場の発展にとってもプラスです。

上記のとおり、私たちの生活は半導体と深く結びついており、半導体の進化と普及は、新たな不動産の需要を生み出し、地域経済に活気をもたらします。半導体ファブが新しく設立されるたび、私はワクワクします。なぜなら、それは新たな機会、新たな発展と変化、それらは私の仕事にとって新たな知識が得られることを意味するからです。

私はシステムエンジニアから不動産鑑定士へとキャリアを転換しましたが、異なるフィールドであっても互いに関連しているということに気づきました。これらは半導体以外のフィールドにも応用可能で、まったく別の業界であっても不動産市場の動向を理解し、予測することにつながっています

まとめ

半導体は現代社会における最も重要な技術の一つであり、私たちの生活と社会の進歩は、半導体技術の進歩と密接に結びついていますから、その需要はこれからも更に増えていくでしょう。

そして、その注目される半導体が、皆さんの職業に関連する他の産業に与える影響ついて考えてみるのも、おもしろいかもしれません。

世界は絶えず変化し、それぞれの産業もまた進化し続けます。しかし、それらは互いに独立して存在するわけではなく、しばしば予想外の方法で結びついています。

私たちが世界を理解し、将来を予測するためには、異なる視点から見ることの重要性を認識することが必要です。そして、それが私が今回の記事でお伝えしたかったことです。

CONTACT
お問い合わせ

相談のご予約や当社へのお問い合わせは、
以下よりお気軽にご連絡ください。