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不動産売却時までにやっておくべきこと

不動産売却時までにやっておくべきこと

こんにちは。私はこれまで、不動産鑑定士と宅建士としてのキャリアを積んできました。その経験を活かし、今日は不動産の売却を考えている皆様へ、事前に心掛けるべきポイントについてお伝えしたいと思います。

当社は、「安心の取引」を最優先に考えています。それは売る側だけでなく、買う側も含めてのこと。皆様が信頼して不動産取引を進められるよう、日々活動しています。

この機会に、安心して取引を行うための秘訣や、スムーズな売却を実現するためのヒントを共有させていただきたいと思います。

物件の確認

物件の確認は、購入希望者がその物件に対して持つ印象や価値を大きく左右します。売却を検討している方は、下記のポイントをチェックし、必要ならば改善することで、物件の価値を高めることができるでしょう。

●外観のチェック
壁にヒビや色褪せ、屋根の損傷やゴミ箱周りの状態などを確認します。外観の第一印象は購入希望者にとって非常に重要です。

●室内の清掃と整理
室内は清潔感があるかどうか確認します。不要な物を整理・処分し、部屋をスッキリ見せることで、購入希望者がその空間に住むイメージをしやすくなります。

●設備の動作確認
水回り(キッチン、トイレ、浴室)の水漏れ、エアコンや暖房の動作、窓の開閉など、各設備の動作を確認します。

●改築やリフォームの履歴確認
物件に対して行われた改築やリフォームの履歴を整理しておきます。これは、購入希望者からの問い合わせに対して迅速に答えるため、また物件の価値を正しく伝えるために重要です。

●臭いの確認
たばこの臭いやペットの臭い、カビの臭いなど、不快と感じる臭いがしないか確認します。必要であれば、換気や消臭を行いましょう。

●隣接地との関係の確認
物件の隣接地との境界や関係を確認します。境界線の問題やトラブルは、売却時に大きな問題となることがあるため、早めに確認と対処が必要です。

不動産鑑定士による査定の依頼

不動産鑑定士による査定は、物件の価値を客観的かつ専門的に評価するためのものです。適正な価格での売却を希望する場合、信頼できる鑑定士に査定を依頼することが重要です。

●鑑定士の選定
まず、信頼できる不動産鑑定士や鑑定会社を選びます。実績が確認できるとよいのですが、不明な場合は、各都道府県の不動産鑑定士協会に問い合せてみるとよいでしょう。

●初回面談
鑑定士や鑑定会社との初回の面談を行います。ここで、物件の概要や査定の目的などを明確に伝えることが重要です。

●資料や鑑定評価の依頼書の提出
鑑定士に査定を依頼する際、鑑定に必要な資料や正式な依頼書を提出します。依頼書には物件の情報や希望する査定日などが記載されます。

●現地調査
鑑定士は現地に足を運び、物件の状態や周辺の環境などを直接確認します。この現地調査が査定結果に大きく影響します。可能な限り、協力しましょう。

●データの収集と分析・鑑定評価書の作成
鑑定士は、類似の物件の取引情報や土地の価格動向など、さまざまなデータを収集し分析します。収集・分析したデータを基に、鑑定士は物件の適正な価格を算出し、鑑定評価書としてまとめます。その後鑑定評価書を依頼者に提出し、その内容や算出の根拠を詳しく説明します。

●質問や不明点の確認
依頼者は、鑑定評価書に関して不明点や疑問点があれば、鑑定士に質問することができます。

物件の情報整理

物件の情報整理は、売却活動をスムーズに進めるために不可欠です。また、正確かつ詳細な情報を持っていることで、購入希望者からの質問や疑問にも迅速に応えることができ、信頼関係の構築にも繋がります。なお、鑑定評価書を取得すると記載されている事項もあります。

●基本情報の整理
・所在地: 住所や最寄り駅、アクセス方法などを確認します。
・物件タイプ: 一戸建て、マンション、土地のみなど、物件の種類を明記します。
・面積: 土地面積や建物面積を確認します。
・間取り: 部屋の数や間取りのタイプ(例:3LDK)をリストアップします。

●物件の権利関係の確認
・権利形態: 所有権、定期借地権、普通借地権などの権利形態を確認します。
・地目: 住宅地、田、畑などの土地の用途を確認します。

●建物の詳細情報の整理
・建築年月: 物件がいつ建てられたのか、その年月を明記します。
・建物構造: 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造を記載します。
・設備: エアコン、シャワー、温水洗浄便座など、物件に付属する設備の情報を整理します。

●関連書類の準備
・固定資産税評価証明書: 市町村から取得できる、物件の評価額や面積などが記載された書類。
・登記簿謄本: 物件の所有者や抵当権の有無など、権利関係が記載された公的な書類。
・地図: 物件の位置関係を示す地図や区画図。
・改築やリフォームの履歴: 過去に施されたリフォームや改築の内容とその日付。

●負債や抵当権の確認
物件に関連するローンや抵当権がないかを確認し、存在する場合はその詳細を整理します。

●物件の特色や特筆点
物件の魅力や独自の特色、周辺環境の利便性など、売却時にアピールポイントとなる情報をまとめます。

仲介業者の選定

仲介業者の選定は、不動産売却の成功に直結する大切なステップです。多くの業者が存在する中で、自身の目的や期待に合った業者を選ぶことで、スムーズな売却を実現することができます。

●目的の明確化
物件を早く売却したい場合は買取業者、高価格での売却を優先したいのなら仲介業者に依頼します。目的を明確にして、それに合った業者を選ぶ基準を決めます。

●業者の実績の確認
話題の物件やエリアでの取引実績、売却成功率など、業者の過去の実績を確認します。インターネットや周囲の知人からの評判、口コミをもとに、業者の信頼性やサービス品質を調査してもよいでしょう。

●業者との初回面談、手数料やサービス内容の確認
直接業者との面談を行い、その対応や提案内容から、自身の物件に合った業者かどうかを判断します。また、売却成功時の手数料や、宣伝活動の内容、アフターケアについてなど、具体的なサービス内容とその料金を確認します。

●対応スピードの確認
連絡を取った際のレスポンスの速さや、物件の情報を提供した後の査定結果の提出スピードなど、業者の対応速度を確認します。

●専任・専属契約の有無
専任や専属の契約を結ぶか、一般的な仲介契約を結ぶかを確認し、自身の希望と合っているかを検討します。

●最終判断
上記のステップを踏まえて、最も信頼性があり、自身の目的に合った仲介業者を選定します。

売却戦略の策定

売却戦略の策定は、不動産の売却成立に向けての大切なプロセスです。物件の特性や市場状況をしっかり把握し、効果的な戦略を策定することで、スムーズかつ適切な価格での売却を実現することができます。

●物件の強み・弱みの分析
まず、自らの物件の特色や強み、そして改善点や弱みをリストアップします。この分析を元に、アピールポイントや改善策を考える基盤とします。

●市場調査
現在の不動産市場の動向や、類似物件の取引価格、売出し時間などの情報を収集します。これにより、現在の物件の相場を把握することができます。

●価格設定
市場調査と自物件の評価を基に、適切な売却価格を設定します。高すぎると売却が難しく、低すぎると損をしてしまう可能性があるため、慎重な価格設定が求められます。

●売り出し方法の選択
一般的な公開売り出し、または招待制の非公開売り出し等、物件の特性や目的に応じて最適な売り出し方法を選択します。

●プロモーション活動の策定
物件の広告や宣伝活動の計画を立てます。例えば、ネット広告、新聞折込、不動産情報誌など、どのメディアを利用するか、また写真や文章の内容など、詳細なプロモーション内容を決定します。

●オープンハウスの検討
購入希望者に直接物件を見てもらうためのオープンハウスを実施するかどうかを検討します。オープンハウスを行うことで、多くの購入希望者に物件を見てもらうことが期待できます。

●交渉戦略の策定
価格交渉や条件の交渉における方針を決定します。例えば、最低受け入れ価格や交渉時のフレキシビリティなど、事前に方針を決めておくことでスムーズな交渉が期待できます。

●売却後の手続きに備える
売却が成立した後の手続きや必要書類、引き渡しのタイミングなどをあらかじめ確認しておきます。

まとめ

不動産の売却は、日常生活には頻繁に登場するものではありません。実際、多くの人々にとっては、人生で数回、あるいは一度きりの重要な取引となるでしょう。このような取引は、生活を大きく左右する可能性があるため、重要視されるものです。新しい生活を始めるための転居、投資としての購入や、生活の質を上げるための移住など、様々な理由で不動産の売却を考えることがあります。

多くの人が不動産の売却に関して不安や疑問を抱くのは当然のこと。価格は妥当か、手続きは複雑ではないか、税金の問題はどうなるのかなど、様々な疑問点が浮かぶでしょう。特に、売却に関する市場の動向や法律の知識がないと、どこから手をつけていいのか分からないというのが現実ではないでしょうか。

しかし、こうした不安や疑問を解消するための情報やサポートが十分に整っていれば、売却プロセスをスムーズに進めることができます。正確な市場情報を持つことで、適切な価格設定やタイミングの選択が可能となります。また、専門家のサポートを受けることで、手続きの流れや必要書類、税金の問題など、細かな部分にわたるアドバイスを受けることができます。

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