COLUMN コラム

独立から学んだこと

独立から学んだこと

サラリーマンを辞めて独立することは、多くの人にとって人生の大きな転機となります。私自身、長年のサラリーマン生活を経て不動産鑑定士として独立しましたが、その過程で感じたことや気づいたことをお伝えしたいと思います。

独立することで得られるメリットも多いですが、一方で不動産鑑定士のような専門職でも当然ながらリスクも存在します。以下では、独立のメリットとデメリット(リスク)を表にまとめ、それぞれについて主観を交えて解説していきます。

メリットデメリット(リスク)
自由な働き方ができる全ての業務を自分一人で行う必要がある
自分のペースで仕事を進められる経営・営業・経理・マーケティングなど全ての知識が必要
お客様との対話やスピード感が直接感じられる全て自己責任で行う必要がある
机上知識だけでなく、実践から学べる安定した収入が保証されない
経済ニュースに敏感になり、全てのニュースが自分の仕事に関係する家族の生活がかかっているため、プレッシャーがある

自分一人で全ての業務をこなす

独立における最も大きな変化の一つは、営業、受付、作業、納品といった全ての業務を自分一人で行うことになる点です。私はサラリーマン時代は比較的大きな組織に所属していたこともあり、分業化が進み、自分の担当範囲以外の業務については当たり前のように他の人に任せていました。しかし、独立するとそうはいきません。

正直なところ、最初は戸惑いや不安もありましたが、最初は自分で全ての業務を回してみることで、どの作業がどれだけの時間と労力を要するかを実感できます。これにより、時間管理や優先順位の付け方がより現実的に理解できるようになります。また、全ての業務を自分で回してみることで、改めて自分の弱点や改善点も浮き彫りになります。

組織では分からなかったことが明らかに

独立して仕事を進めていく中で、組織に所属していた時には気づかなかったことが見えてきます。例えば、お客様との対話一つをとっても、直接やり取りすることでお客様のニーズや期待をより深く理解できるようになります。

また、独立により仕事のスピード感に対する意識が大きく変わりました。組織に所属していた頃は、会社の看板がカバーしてくれていた部分に気づくことができず、そこに甘えがあったのかもしれません。また、組織では見えにくかったスピード感も、自分で経営することで強く意識するようになります。

ただし、独立すると、組織に守られず全てが自分の責任となり、その重さを実感することになります。よって、お客様とのやり取りの中で、ニーズをより深く理解し、より一層丁寧な対応が求められるようになります。

実践で得る知識の重要性

独立してみると、理論や知識だけではどうにもならない場面に多く直面します。やはり、実際にやってみることで初めて得られる学びや気づきが多く、実践の中でしか成長できない部分があると感じます。

特に、税金関係や経営に関する実践を通じて得られる経験は、書籍や講義では得られない価値があります。独立することで実践的なスキルが磨かれ、より柔軟かつ的確な対応ができるようになります。すべて自分にとっての貴重な経験となり、次へのステップに繋がっています。

全て自己責任

独立した後は、全てが自己責任になります。自分や家族の生活がかかっているため、毎日の仕事に対する責任感やプレッシャーが大きくなります。

このプレッシャーは時には負担となりますが、一方で真剣さや本気度を引き上げる要因にもなりますし、自分を成長させる原動力にもなります。自分の決断が直接収入や経営の安定性に影響を与えるため、自然と仕事に対する集中力や意識が高まります。

そのため、どんな小さな仕事でも慎重に取り組むようになり、これまで以上に真剣に仕事と人生(生き方)に向き合うようになります。

経営に必要な多様な知識と情報感度

経営、営業、経理、マーケティングといった幅広い知識が必要になる中で、日々のニュースや経済動向に対する感度も自然と高まります。

これまでは他人事のように思えていたニュースも、独立してからは自分に直接影響を与えるものとして捉えるようになりました。その結果、常にアンテナを張り、情報を収集し続けることの大切さに気付きます。

すべての知識を網羅することは難しいですが、一つひとつを大切に学び、少しでも自分の力に変えていく姿勢が求められます。

まとめ

不動産鑑定士という専門職とはいえ、サラリーマンから独立するという道は決して平坦ではなく、多くの挑戦と日々の判断が必要になります。しかし、その過程で自分の成長を実感できる瞬間も多くあります。

謙虚さを忘れずに仕事に取り組み、毎日の努力と学びが実を結ぶと信じて、これからも地道に歩み続けていこうと思います。

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