日本不動産研究所から、2023年3月末時点の「田畑価格及び賃借料調査」と「山林素地及び山元立木価格調査」の結果が公表されています。
【公表資料】第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)を公表
この調査では、田畑の価格と賃借料、また山林や立木の価格の動向が詳しく分析されています。
- 【田畑の価格と賃借料】:全国平均で田の価格は64万7213円、畑は40万8640円で、前年よりそれぞれ1.6%と1.1%低下しましたが、下落幅は縮小傾向にあります。賃借料についても同様に低下していますが、下落幅は縮小しています。
- 【山林素地および山元立木の価格】: ウッドショックの収束により、山元立木の価格は低下に転じました。用材林地の価格はわずかに低下しましたが、薪炭林地は微増しています。
主観を交えて
弊社のような地方部の不動産鑑定業者は、農地や山林の評価をするケースもあるため、農地及び山林の価格動向には注目しています。今回の日本不動産研究所の調査結果から、主観を交えて解説していきたいと思います。
農地価格の動向とその背景
2023年3月末の調査によれば、全国平均で田の価格は約64万7213円、畑は約40万8640円と、いずれも前年より下落しました。これは、農地に対する需要の低下が一因と考えられます。農地の利用価値が見直されつつある現在、この下落傾向は農地の活用方法の見直しにも繋がっています。
山林価格の変動と今後の展望
ウッドショックの影響が和らぎ、山元立木の価格は低下に転じました。杉や桧といった主要な材木の価格が前年よりも大幅に下がったことは、林業に従事する方々にとって厳しい現実です。一方で、薪炭林地の価格が上昇したことは、再生可能エネルギーや持続可能な資源利用の観点からも興味深い変化だと感じました。
まとめ
これらのデータをもとに、不動産鑑定において農地や山林の市場価値を再構築する必要があります。
特に、地域の生産力や耕地条件によって異なる農地の価値については、今年の米需要の逼迫もありますし慎重に観察していくことが大切です。また、山林に関しても、環境政策やエネルギー資源の需要変動が価格に影響を与える可能性があるため、鑑定においてはこれらの要素も考慮した分析が求められるでしょう。
不動産の価値は、経済情勢や市場の需要に大きく影響されるため、今回の調査結果を参考にしながら、今後の動向を引き続き見守っていきたいと思います。