東京ディズニーランド(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は2028年度にクルーズ船事業に参入することを発表しました。事業費は約3300億円で、首都圏の港を発着する2〜4泊の短期周遊クルーズが中心となります。
このクルーズ船は日本船籍で最大級となり、乗客定員は4000人、標準的な価格帯は2〜4泊で10万〜30万円を予定しているとのことです。クルーズ船内でのコンテンツも計画中で、訪日客を含む年間約40万人の乗客、売上高約1000億円を目指しています。テーマパーク事業と同じく、営業利益率は20%程度を見込んでいます。
主観を交えて
私自身、前職の転勤を機に千葉県に住んで14年になりますが、その間にディズニーランドを訪れたのは子供にせがまれた一度きりです。存在は気にはなりつつも、人混みが苦手なため頻繁に訪れることはありませんでした。しかし、今回のクルーズ船事業の発表には興味を惹かれました。非日常的なクルーズ体験を提供するというコンセプトは、私のようなディズニーランドに行かない地元住民にも魅力を感じさせます。
クルーズ船事業が成功すれば、TDR周辺のホテルの宿泊需要にも影響を与える可能性があります。特に、短期周遊クルーズが中心となることで、相乗効果でTDR訪問を目的とする観光客が増加し、近隣ホテルの稼働率も上昇する可能性もあるでしょう。また、クルーズ船によって提供される新しい非日常体験は、TDR自体の魅力をさらに高めることが期待されます。
我々不動産鑑定士としては、OLCのクルーズ船事業への参入が周辺の不動産価値(特にホテル)に与える影響を注視する必要があります。「東京ディズニーリゾート」周辺地域のホテルには、オリエンタルランド系列のディズニーブランドホテル、舞浜地区のオフィシャルホテル、新浦安地区のパートナーホテル、そしてその周辺におけるその他のホテルがあります。これらのホテル群は、TDRの集客能力に大きく依存しています。
新たな需要を見越して、舞浜地区や新浦安地区のホテル開発やリノベーションが進む可能性もあり、特に、オリエンタルランド系列やパートナーホテルではないその他のホテルは、新たな競争環境の中でどのように差別化を図るかに注目しています。
一方で、クルーズ事業の成功にはいくつかの課題も存在します。クルーズ船内でのコンテンツやサービスの充実、訪日客の需要取り込み、そしてOLCが掲げる年間約40万人の乗客目標達成に向けた戦略など。これらがクリアされることで、浦安のホテルを中心とした不動産市場にもポジティブな波及効果が期待されます。
私のように、普段はディズニーランドに足を運ばない地元住民にとっても、このクルーズ船事業は関心が高く、機会があれば家族で乗船してみたいとも思いました。本取り組みが成功すれば、地域経済にとっても大きなプラスとなり、千葉県全体の魅力向上に寄与するた、今後の動向に注目していきたいと思います。