不動産鑑定評価では「建付地」、「建付減価」という考え方があります。
一般的にあまり馴染みのないワードだと思いますが、事象としてはよくある考え方ですから、今回は建付地と建付減価について説明していきます。
建付地とは
まず建付地について、不動産鑑定評価基準では「建付地とは建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地をいう。」とあります。
平たくいうと、建付地とは自用の土地に自用の建物が建っている状態で、その土地(敷地)部分のことです。
平たくいうと、建付地とは自用の土地に自用の建物が建っている状態で、その土地(敷地)部分のことです。
建付地と更地
建付地と更地(※)では、一般的に更地の方が価値が高くなります。なぜなら、更地は最有効使用の建物が建てられるからです。
(※)更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
例えば老朽化した建物が建っている場合、建物を取り壊して更地化した方が、土地を有効活用できるため、建付地の価値は更地より低くなることがあります。
言い換えると、「建物の存在が土地有効活用の妨害になっているので、建物が最有効使用の状態にない場合には,敷地の価格は更地価格を下回る」状態になっています。
(※)更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
例えば老朽化した建物が建っている場合、建物を取り壊して更地化した方が、土地を有効活用できるため、建付地の価値は更地より低くなることがあります。
言い換えると、「建物の存在が土地有効活用の妨害になっているので、建物が最有効使用の状態にない場合には,敷地の価格は更地価格を下回る」状態になっています。
建付減価
上記のような敷地の価格が更地価格を下回る状態において、「建付減価」が発生します。
建付減価とは建付地の更地としての最有効使用との格差を反映させることですから、評価対象が「更地(として)」の価格である場合には、建付地の価格を更地価格に補正する必要があります。
これが「建付減価の補正」です。
建付減価とは建付地の更地としての最有効使用との格差を反映させることですから、評価対象が「更地(として)」の価格である場合には、建付地の価格を更地価格に補正する必要があります。
これが「建付減価の補正」です。
建付減価の補正
仮に老朽化した建物が建っている場合の建付減価の補正の限度は「建物解体費相当額」となります。
なぜなら建物を解体撤去して更地化すれば、基本的にはその土地に建築可能な建物を自由に建てることができ、土地の最有効使用を実現できるからです。
したがって、老朽化した建物が建っている土地(敷地)の評価において、建付地価格を求める場合、更地価格から建物の解体費用額を更地価格から控除する必要があります。
例)更地価格1,000万円×建付減価の補正80/100=建付地価格800万円
※建付減価は取壊し費用(200万円)
一方、建付地価格から更地価格を求める場合は上記と逆になります。
例)建付地価格800万円×建付減価の補正100/80=更地価格1,000万円
なぜなら建物を解体撤去して更地化すれば、基本的にはその土地に建築可能な建物を自由に建てることができ、土地の最有効使用を実現できるからです。
したがって、老朽化した建物が建っている土地(敷地)の評価において、建付地価格を求める場合、更地価格から建物の解体費用額を更地価格から控除する必要があります。
例)更地価格1,000万円×建付減価の補正80/100=建付地価格800万円
※建付減価は取壊し費用(200万円)
一方、建付地価格から更地価格を求める場合は上記と逆になります。
例)建付地価格800万円×建付減価の補正100/80=更地価格1,000万円
事例
更地価格から建付地価格を求める場合には、建物取壊し費用等を控除すればよいので、比較的わかりやすいと思います。
よってここでは、建付地価格から更地価格を求める方法(建付減価の補正)について、各事例を用いて考えていきます。
よってここでは、建付地価格から更地価格を求める方法(建付減価の補正)について、各事例を用いて考えていきます。
事例A
昭和50年築、延床面積約60㎡の老朽化した木造建物が建っていて、建付地が250万円(単価15,000円/㎡)で取引されたケースの建付減価を考えます。
建物取壊し費用単価を10,000円/㎡とすると、延床面積が約60㎡であるので、取壊し費用総額は、
10,000円/㎡×60㎡=60万円(取壊し費用総額)
となります。
建付減価の補正は取壊し費用60万円分となり、当該60万円は建付地価格250万円の24%であるの(250万円×24%=60万円)、建付減価の補正は100/76となります。
この場合の建付地価格(単価)から更地価格(単価)を求める式は以下のとおりです。
建付地価格15,000円/㎡×建付減価の補正100/76=更地価格20,000円/㎡
建物取壊し費用単価を10,000円/㎡とすると、延床面積が約60㎡であるので、取壊し費用総額は、
10,000円/㎡×60㎡=60万円(取壊し費用総額)
となります。
建付減価の補正は取壊し費用60万円分となり、当該60万円は建付地価格250万円の24%であるの(250万円×24%=60万円)、建付減価の補正は100/76となります。
この場合の建付地価格(単価)から更地価格(単価)を求める式は以下のとおりです。
建付地価格15,000円/㎡×建付減価の補正100/76=更地価格20,000円/㎡
事例B
昭和40年築、延床面積約160㎡の老朽化した木造建物が建っていて、建付地が350万円(単価12,000円/㎡)で取引されたケースの建付減価を考えます。
取壊し費用単価を10,000円/㎡とすると、延床面積が160㎡であるので、取壊し費用総額は、
10,000円/㎡×160㎡≒160万円(取壊し費用総額)
となります。
※取壊し費用単価は建物の構造、築年、道路幅員、不動産鑑定士の実地調査等により判断が異なります。
建付減価の補正は取壊し費用160万円分となり、当該160万円は建付地価格350万円の約46%であるので(350万円×46%≒160万円)、建付減価の補正は100/54となります。
この場合の建付地価格(単価)から更地価格(単価)を求める式は以下のとおりです。
建付地価格12,000円/㎡×建付減価の補正100/54≒更地価格22,000円/㎡
取壊し費用単価を10,000円/㎡とすると、延床面積が160㎡であるので、取壊し費用総額は、
10,000円/㎡×160㎡≒160万円(取壊し費用総額)
となります。
※取壊し費用単価は建物の構造、築年、道路幅員、不動産鑑定士の実地調査等により判断が異なります。
建付減価の補正は取壊し費用160万円分となり、当該160万円は建付地価格350万円の約46%であるので(350万円×46%≒160万円)、建付減価の補正は100/54となります。
この場合の建付地価格(単価)から更地価格(単価)を求める式は以下のとおりです。
建付地価格12,000円/㎡×建付減価の補正100/54≒更地価格22,000円/㎡
補足:建付増加
これまで敷地の価格が更地価格を下回る状態の「建付減価」について説明しましたが、一方で敷地の価格が更地価格を上回る状態では、「建付増加」が発生するケースも見られます。
建付増加は、例えば建築基準法第3条第2項に該当する「既存不適格建築物」のケース、または建築基準法第86条第1項~第3項に該当する「一団地認定・連担建築物設計制度」等による容積率アップや容積移転が行われているケースが該当します。
これらの場合、更地価格と建物建築費の合計を上回った土地建物一体としての収益性の増加が実現し、建付増加が発生しています。
建付増加は、例えば建築基準法第3条第2項に該当する「既存不適格建築物」のケース、または建築基準法第86条第1項~第3項に該当する「一団地認定・連担建築物設計制度」等による容積率アップや容積移転が行われているケースが該当します。
これらの場合、更地価格と建物建築費の合計を上回った土地建物一体としての収益性の増加が実現し、建付増加が発生しています。