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サブスクリプション型住宅の普及

サブスクリプション型住宅の普及

「サブスクリプション型住宅」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、最近特に都市部の若者の間で注目されている新しい住宅の形態です。このモデルは、音楽や動画、さらにはソフトウェア製品において一般的なサブスクリプション(定額制サービス)の概念を住宅分野に応用したものですが、その柔軟性と経済性が一部の人々に支持されています。

矢野経済研究所がサブスクリプションサービス市場に関する調査を実施した結果では、2021年度のサブスクリプションサービス国内市場規模(6市場計)は前年度比10.6%増の9,615億5,000万円と、増加傾向にあります。

矢野経済研究所 サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)

サブスクリプション型住宅のメカニズム

サブスクリプション型住宅は、ユーザーが一定の定額料金を支払うことで、特定のネットワークに属する複数の住居から、自由に(条件によっては時間制限がある場合も)選んで住むことができるシステムです。

たとえば、A社が提供するサービスに加入すると、A社が契約する都市全域のマンションやアパート、一軒家などから、自分のライフスタイルや仕事、趣味に合わせて住まいを選ぶことができます。

サブスクリプション型住宅は、トランク一つでいつでも好きな場所に住まいを選べる、いわゆる「定額住み放題サービス」とも言われています。

サブスクリプション型住宅のメリット

サブスクリプション型住宅には、メリット、デメリットが存在します。ここでは、そのメリットとデメリットを解説します。

メリット

例えば、職場が変わったり、家族構成に変動がある場合、住まいを変えるには一般的に時間とコストがかかりますが、サブスクリプション型ならば契約内であればスムーズに移動・変更ができます。これは特にプロジェクトベースで働くフリーランサーや、転勤が多いビジネスパーソンにとって魅力的です。

また、従来の賃貸契約では、敷金や礼金、さらには家具や家電の購入など初期コストが高額になることがよくありますが、サブスクリプション型住宅はそれらのコストを大幅に削減できます。サービスによっては、家具付きの物件を提供するところもあるため、新生活を始める際の経済的な負担が軽減できます。

さらに、物を持たないシンプルな生活を希望する人々にサブスクリプション型住宅は適しており、生活の質を重視する層の選択肢となります。

デメリット

サブスクリプション型住宅にはデメリットもあります。

住居を頻繁に変更するスタイルは、プライバシーに対する不安や、セキュリティ面でのリスクを伴います。個人情報の取り扱いや安全な生活環境の維持には注意が必要です。

また、我が家という感覚が希薄になりがちで、特定のコミュニティや地域社会に根ざした生活を送ることが難しくなる場合があるかもしれません。

さらに、短期間では便利で経済的に見えますが、長期的には定額料金が積み重なり、賃貸や住宅ローンの総コストと比較して割高になる可能性があるほか、サービス提供者の定める契約条件によっては、住居の選択肢が限られたり、解約条件が厳しかったりすることがあります。

サブスクリプション型住宅の社会的影響

サブスクリプション型住宅は、住宅市場だけでなく、社会にも新しい影響を与えています。

都市部の"ミニマリスト"ライフスタイルを求める人々に適しており、持たない生活が注目される中で、この新しい形態はさらなる発展が期待されます。不動産所有という従来の価値観にとらわれない、新しい住まい方の選択肢を提供することで、よりフレキシブルで個人に合わせた生活スタイルが可能になっています。

給料の伸び悩みと日々の生活コストの上昇が、一般家庭の住宅購入計画に影響を与える中、多様なライフスタイルや経済状況に適合する形で、不動産市場は消費者のニーズに応えようと進化しています。

まとめ

サブスクリプション型住宅は、現代の変動するライフスタイルに適合する新しい選択肢として注目されています。

従来の賃貸や所有の形態に代わる、このアプローチは、住宅業界に新たな動きをもたらし、消費者にとってもメリットを含んでいます。

サブスクリプション型住宅には、生活の質やコスト、安全性、コミュニティへの希求など、多方面からバランスの取れた判断が求められますが、金融環境の変動と家計へのプレッシャーが増す現代において、新たな需要が期待できる分野として、今後も注目していきたいと思います。

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