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不動産の物理的特徴が鑑定評価に与える影響

不動産の物理的特徴が鑑定評価に与える影響

不動産の物理的特徴が鑑定評価に与える影響について研究している論文があります。

「”The Impact of Physical Attributes on Residential Property Values: An Application of Spatial Autoregressive Techniques” by David E. Clark and David H. Grether (2005)」では、空間自己回帰モデルを用いて分析を行い、物理的特徴が不動産評価にどのような影響を与えるかを解明しています。

具体的には、住宅の広さ、部屋数、駐車場の有無、バスルームの数、隣接する不動産の評価額など、さまざまな要因を考慮して分析を行っています。

研究手法である空間自己回帰モデルは隣接する不動産の評価額が互いに影響し合うことを考慮した分析方法です。つまり、近隣の不動産の評価額が高い場合は、その周辺の不動産の評価額も高くなりやすいという相互作用を考慮した分析方法です。

例えば「道路に沿って並んでいる家がある」と想像してみてください。各家の評価額は、その家の物理的な特徴(広さ、部屋数、バスルームの数など)だけでなく、隣接する家の評価額にも影響を受けると考えます。

具体的には、A家の評価額が高い場合、B家、C家、D家など、その周辺の家の評価額も高くなりやすいという相互作用があります。同様に、B家の評価額が高い場合、A家、C家、D家などの周辺の家の評価額も高くなる可能性があります。

空間自己回帰モデルはこのような相互作用を考慮した統計モデルであり、各家の評価額はその家自身の物理的な特徴だけでなく、周辺の家の評価額にも影響を受けると仮定しています。このような統計モデルを用いることで、周辺の不動産価格の影響を正確に評価することができるという仕組みです。

まとめると、広さや部屋数などの物理的な特徴が評価額に大きく影響することと、隣接する不動産の評価額が高い場合は、その周辺の不動産の評価額も高くなる傾向があることが分かります。

空間自己回帰モデルを用いた分析手法は、不動産鑑定において有用な手法であるとともに、不動産鑑定においては物理的な特徴だけでなく、周辺の不動産の評価額も考慮することが重要であることを示しています。

ただし、これらの研究が必ずしも現在の市場状況に適用されるわけではなく、また鑑定評価には対象不動産独自の個別的要因があるため、鑑定評価を行う際には、最新の市場動向や対象不動産の個別的要因を考慮した上で、適切な評価を行うことが必要となっています。

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