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銀行も大家も、金利上昇に備える時代

銀行も大家も、金利上昇に備える時代

最近、大家さんにとって気になる話題といえば、やはり「金利」ではないでしょうか。

私自身、不動産鑑定士として仕事をする一方で、法人として賃貸住宅を所有し、銀行から融資も受けています。ですので、金利上昇は人ごとではありません。

以前は融資というと、「いくら借りられるか」「何年で借りられるか」の方が気になり、金利が0.1%、0.2%動くことは、それほど大きな問題ではなかったように思います。

ところが、日本はすっかり「金利のある世界」に戻ってきました。そして面白いのは、金利上昇を心配しているのが、借りている大家だけではないことです。

銀行も金利を気にしている

金融庁が2026年7月31日に公表した「預金取扱等金融機関モニタリング・分析レポート」では、「金利のある世界」における預金の動向に加え、近年価格上昇がみられる不動産に関連した貸出の動向などが取り上げられています。

銀行は、お金を貸せば終わりではありません。

預金金利が上がれば銀行側の資金調達コストも増えますし、不動産向け融資が増えすぎれば、不動産市況が悪化したときのリスクも大きくなります。

そのため金融庁は、金利上昇や不動産価格下落が起きても問題がないか、金融機関がストレステストなどを通じてリスクを管理することを重視しています。

これを読んでいて思ったのですが、大家も同じことをやった方がいいということです。

金利が1%上がったら?

例えば、借入残高が1億円あるとします。金利が1%上昇すると、単純計算では年間100万円、利息負担が増えます。

実際には元金が減っていくので、きっちり100万円増えるわけではありません。それでも、小規模な賃貸経営ではかなり大きな金額です。

しかも最近は、金利だけではありません。土地や建物の取得費、固定資産税や修繕費も上がっています。火災・地震保険料も上がっています。建築費や人件費も上昇しています。

一方で、「銀行の金利が上がったので、来月から家賃を10%上げます」とは、なかなかいきません。

賃貸経営をしていると、この「家賃はすぐには動かせないのに、コストは先に上がる」という葛藤に直面します。

銀行が見るのも「価格」だけではない

銀行融資というと、どうしても担保価格に目が行きます。

もちろん担保は大切です。ただ、金融庁の資料を見ると、金融機関にはレントロールや稼働状況、賃料動向など、不動産が実際にどの程度収益を生んでいるかを見ることも求められています。

これは、不動産鑑定の考え方ともよく似ています。土地がいくら、建物がいくら、というだけではなく、「この不動産は、この先も安定して収益を生み続けられるのか」を見るわけです。

これから融資を受ける大家側も、「物件を持っている」だけでなく、「きちんと経営している」ことを説明できることが、ますます大切になる気がします。

「銀行が貸してくれたから大丈夫」ではない

不動産投資では、「銀行がこれだけ貸してくれるんだから、大丈夫でしょう」という話を聞くことがあります。

でも、銀行が見てるのは、あくまで「この融資をしても、銀行としてきちんと回収できるか」ということです。そのため、物件の担保価値や家賃収入、借りる人の年収や資産状況、他の借入れなどを見ながら、「この条件なら貸せる」と判断します。

一方、大家が考えるべきなのは、金利上昇や空室、修繕があっても返済を続け、そのうえで経営として成り立つかどうか。

つまり、銀行は「返してもらえるか」。大家は「返したうえで利益が残るか」。似ていますが、同じではありません。

金融庁が銀行に求めているストレステストを、大家も自分のアパートでやってみる。そんな時代になったのかもしれません。

これから強い大家は、金利を当てられる人ではなく、金利が外れても困らない人。

私自身も、借りる側、貸す側を見る仕事の両方を経験しながら、そんなことを考えるようになりました。

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