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【2023年4月】不動産投資家調査

【2023年4月】不動産投資家調査

(一財)日本不動産研究所は、2023年4月時点の不動産投資家調査の調査結果を公表しました。

【公表資料】第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)

同調査では、不動産投資家の間での期待利回りの変動、投資意欲、そして市場の将来に対する見通しを明らかにしています。以下はその主な内容の要約です。

●Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回り

東京・丸の内、大手町の期待利回りは横ばいを維持。 京都と広島では期待利回りが0.1%低下。

●賃貸住宅一棟の期待利回り

東京・城南のワンルームタイプとファミリータイプが前回比で0.1%低下し、調査開始以来最も低い水準を維持。 住宅の期待利回りの低下は多くの地方都市でも見られた。

●商業店舗の期待利回り

都心型高級専門店の「銀座」で期待利回りが0.1%低下、それ以外の調査地域では横ばい。

●物流施設・倉庫(マルチテナント型)の期待利回り

東京(江東区)で前回比0.1%低下し、調査開始以来初めて4.0%を下回ったが、それ以外の調査地域では前回比横ばい。

●宿泊特化型ホテルの期待利回り

札幌、名古屋、大阪、那覇で期待利回りが0.1%低下。

●今後1年間の不動産投資に対する考え方

「新規投資を積極的に行う」との回答が96%で、前回より1%上昇。 「当面、新規投資を控える」との回答は4%で、前回比1%低下。

●マーケットサイクル(市況感)

東京では現在と半年後の市況感が「ピークである」とする回答が最も多かった。大阪では現在「ピークである」とする回答が最も多く、半年後は「ピークを過ぎ、調整局面に転じた」とする回答が「ピークである」よりもわずかに多かった。

所感

東京のAクラスビル、特に丸の内や大手町地区では、期待利回りが横ばいを維持しています。これは、首都圏のオフィス市場が依然として安定していることを示唆しています。一方で、京都や広島のオフィスエリアでは期待利回りが低下しており、市場の微妙な変化を感じさせます。

また、商業施設に関しては、都心型高級専門店の銀座で期待利回りが低下していますが、それ以外の地域では比較的安定しています。物流施設では、東京(江東区)で期待利回りが低下しており、eコマースの影響や物流需要の変化が背景にあると考えられます。

宿泊特化型ホテルの期待利回りは札幌、名古屋、大阪、那覇で低下していますが、これはコロナ開けのインバウンド需要等に係る観光業界の回復に対する期待を反映している可能性があります。

この調査結果からは、日本の不動産市場が転換期にあることが読み取れます。一部の市場セグメントでは利回りの横ばい傾向が見られるものの、投資家の間では依然として高い投資意欲が保たれています。今後の市場動向を見極めるためには、経済全体の動きや政策の変化にも目を向ける必要がありそうです。

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