「価格等調査ガイドライン」の正式名称は、「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」といい、国土交通省により定められました。
不動産鑑定評価が「不動産鑑定評価基準」を指針としているように、価格等調査では「価格等調査ガイドライン」を指針としています。不動産鑑定士は各々の指針を必ず遵守しなければならないとされています。
価格等調査ガイドラインが制定された背景に、鑑定評価の社会的ニーズの多様化があります。通常の鑑定評価のほか、価格等調査を行うことが可能になることで、不動産鑑定士の業務の範囲が拡大されました。
価格等調査ガイドラインでは、不動産鑑定士が価格等調査を行う場合の実施方針などが示されており、①業務の目的と範囲などについて依頼者との間で確定すべき事項、②成果報告書の記載事項などが記載されています。
具体的には、次のような場合に、基準に則らない価格等調査を行うことができるとされています。
- 調査価格等が依頼者の内部利用にとどまる場合
- 公表・開示・提出される場合でも利用者の判断に大きな影響を与えない場合
- 公表されない場合で、すべての開示・提出先の承諾が得られた場合
- 不動産鑑定評価基準に則ることができない場合
- 依頼目的・利用範囲等を勘案して不動産鑑定評価基準に則らない合理的な理由がある場合
基本的に、企業や官公庁、金融機関などの内部の意思決定に使う資料であれあば、価格等調査を行うことができます。ただし、開示先や提出先がある場合でも、当該開示先や提出先の承諾が得られる場合などは価格等調査を行うことができます。
不動産鑑定評価基準に則らないことによるリスクなどは、判断が難しいケースもありますので、不動産鑑定士が慎重に判断する必要があります。
なお、価格等調査を行った場合、成果品は鑑定評価書ではなく、調査報告書となります。