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不動産鑑定という仕事

不動産鑑定という仕事

個人的な意見にはなりますが、不動産鑑定は手間がかかる地味な作業です。そこにはスマートな要素はほとんど見当たりません。

一人きりで物件を見に行き(物件によっては作業着と長靴で田畑や山林に入ることもある)、周辺を歩き回って取引事例を確認し、法務局で資料を集め、役所に行って調査し、地元精通者にヒアリングをし、事務所にこもって黙々と鑑定評価書を書いています。

これは大手鑑定業者であっても個人鑑定業者であっても概ね同様です。

実に粛々と作業を進め、書き上げた鑑定評価書を読みながら「うんうん」と黙って頷き、自分で納得して終了です。サッカーのワールドカップのような「鑑定ワールドカップ」はありませんので、誰かが応援してくれたり励ましてくれるわけでもありません。

これから不動産鑑定士を目指している方の夢を壊すようなら申し訳ないのですが、そういうどこまでも泥臭い細かな作業が来る日も来る日も続きます。パリッとしたいわゆる”かっこいい”スーツを着るのは年に数回です。鑑定は、それが性に合う人、あるいはそれほど苦にならない人でないと、とても続けられる仕事ではありません。

また不動産鑑定士は資格をいったん手に入れたらあとは左うちわで人生を送れるという類いのものでもありません。

ただ、鑑定作業が一見つまらなそうに見えようと、私にとっては興味深い知識や経験が自然に積み重なっていくものですから、そういう作業が性に合っていたようです。まったく苦になりませんから。

鑑定を始めて15年になりますが、その間に体調を大きく崩したこともなく(あまりに歩き回るので足腰がやや痛くなることがありますが)、日々鑑定を続けることができました。

今振り返ってみれば、エンジニアからの転職によりまったくの異業種の「不動産鑑定士」という職業に巡り会えたのは、幸運以外の何ものでもなかったという気がします。

※不動産鑑定士であれば何かしら通底するものがあると思いますが、当然ですがいろんなタイプの不動産鑑定士がいますので、すべてを一律に論じることはもちろんできません。あくまで個人的な感想であることご了承ください。

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