COLUMN コラム

わが家も中古の大和ハウス

わが家も中古の大和ハウス

少し気になる住宅ニュースが、続けて二つありました。

一つは、大和ハウス工業が新築戸建て事業を見直し、東京や大阪など都市部に営業機能を集約する一方、23道県では新築戸建て事業から撤退するというニュースです。

報道では、自由設計の注文住宅については、今後5000万円以上の価格帯に絞っていくとされています。

5000万円。土地代は別です。そう考えると、なかなか大きな金額です。

もう一つは、国土交通省が、フラット35について、子育て世帯が中古住宅を購入する場合の金利優遇を拡充する方向だというニュースです。

この二つ、最初は別々のニュースとして読んでいました。ただ、よく考えると、少しつながっているようにも感じます。

新築住宅の価格は上がっている。一方で、国は子育て世帯の中古住宅取得を後押ししようとしている。

住宅市場全体が、「新しい家を建てる」という方向だけではなく、「今ある家をどう使うか」という方向にも、少しずつ動いているのかもしれません。

実は、わが家も大和ハウスの家です。しかも新築ではなく、中古住宅を購入しました。そして、購入した当時は子育て世帯でした。今も子育て真っ最中ですが。

ですから、「大和ハウス」「中古住宅」「子育て世帯」という今回のニュースのキーワードが、たまたま全部わが家に当てはまっています。

わが家の場合、最初から「中古住宅を買おう」と決めていたわけではありません。住みたい街があって、無理をせず現実的に手が届く金額で、家族にとってちょうどいい広さの家を探していました。その結果、今の中古住宅にたどり着きました。

たぶん、みなさん住宅を買うときには新築か中古かをかなり意識すると思います。でも、住み始めてしまうと、そんなことはだんだん気にならなくなります。毎朝、「この家、中古やったな」と思いながら起きるわけでもありません。

子どもが家の中を走り回って、物が増えて、壁や床にも少しずつ傷がついていきます。そのうち、もともと中古だったかどうかよりも、自分たちがつけた傷の方が多くなってきます。そうやって暮らしていると、普通に「わが家」になります。

そんなこともあって、大和ハウスの注文住宅5000万円というニュースには、少し考えさせられました。

もちろん、すべての大和ハウスの家が5000万円以上になるという話ではありません。ただ、大手ハウスメーカーで注文住宅を建てようとすると、以前よりかなり高いところから考えないといけない時代になってきたのは確かだと思います。

しかも今は、住宅価格だけではありません。住宅ローンの金利も上がっています。家そのものが高くなって、その家を買うために借りるお金の値段まで上がっている。

住宅を買う側からすると、なかなか厳しい話です。

同じ5000万円を借りるにしても、金利が違えば毎月の返済額も、最終的に払う金額も変わります。昔のように「とりあえず低金利だから借りておけばいい」という感じでもなくなってきました。

特に子育て世帯の場合、住宅ローンだけ払っていればいいわけではありません。教育費もかかります。車もいつか買い替えます。できれば家族旅行にも行きたい。老後のお金も少しは準備しておきたい。

家はもちろん大事です。ただ、家のためだけに暮らしているわけでもありません。

そう考えると、中古住宅の見え方も少し変わってきます。

これまでは、どこかに「新築が買えるなら新築。中古は予算を抑えるために選ぶもの」というイメージがあったように思います。

住宅を探していると、新築住宅の営業の方からも、「住宅ローンで借りられる上限金額で、できるだけ希望に近い新築を建てる」という考え方を勧められることがあります。

もちろん、それも一つの考え方ですが、私が家を買った当時から、本当にそれでいいのかな、とは思っていました。銀行が貸してくれる金額と、家族が無理なく返していける金額は、必ずしも同じではありません。

住みたい場所にある中古住宅を買って、必要なところだけ手を入れる。好きなハウスメーカーが建てた住宅を中古で買う。家にすべてのお金を使わず、教育費や旅行、趣味、資産形成にも残しておく。

それも普通の選択だと思います。というより、これからはそういう考え方をする人が増えるのかもしれません。

もちろん、新築住宅を否定するつもりはまったくありません。新築には新築の良さがあります。間取りや設備を自分たちで決めて、一から家をつくるのは、やはり大きな楽しみだと思います。

大事なのは、新築か中古かということより、それぞれの家族が無理をせず、自分たちなりに納得できる住まいを選ぶことなのだと思います。

少なくともその意味では、中古住宅は「新築を買えなかった人が仕方なく選ぶもの」ではなくなってきています。

今回、子育て世帯が中古住宅を購入する場合のフラット35の優遇を拡充しようとしているのも、そうした流れの一つなのでしょう。

住宅価格が上がり、金利も上がるなかで、子育て世帯に高い新築住宅だけを勧めても、現実的にはなかなか難しい。だったら、今ある住宅をもっと使いやすくして、中古住宅を購入する人を支援する。

そういう方向に政策が動くのは、自然なことのようにも思います。

そして、大和ハウス自身も、新築戸建て事業を都市部に集約する一方で、リフォームや買取再販、不動産仲介などの住宅ストック事業を強化するとしています。

住宅メーカーも、ただ新しい家を建てて売るだけではなく、一度建てた住宅をその後どう使っていくかを考えるようになっているわけです。

これは、不動産業界にとって、けっこう大きな変化なのではないかと思います。

不動産鑑定の仕事では、建物は築年数が経つにつれて価値が下がるものとして見る場面が多くあります。それ自体は間違いではありませんが、実際に住む家として考えると、築年数だけでは分からないことも結構あります。

きちんと建てられているか。これまでどう使われてきたか。修繕やリフォームがされているか。そういうことも大事です。

これからは、「新築か中古か」だけではなく、「どんな家なのか」を見ることの方が、ますます重要になるのではないかと思います。

人口が減り、空き家が増えている日本で、すべての住宅を壊して新しく建て直し続けるというのも、どこか無理があります。

一方で、子育て世帯には当然、家が必要です。新築価格が上がり、さらに住宅ローン金利まで上がる時代になれば、「新築でなくてもいいのでは」と考える人は、これからますます増えていく気がします。

わが家は、中古です。誰かが建てて、誰かが暮らした家を、今は私たち家族が使っています。

買った当時は、住宅市場の将来なんて何も考えていませんでした。住みたい街にあって、金額も現実的で、家族にとって広さもちょうどよかった。それだけです。

でも今振り返ると、それでよかったと思っています。新築を建てる家族がいてもいいし、誰かが使ってきた家を次の家族が引き継ぐのもいい。

今回の二つのニュースを見ながら、日本の住宅市場も、「新しい家をどれだけ建てるか」だけではなく、「今ある家をどう使っていくか」を、以前より真剣に考える時代になってきたのかな、と感じました。

そのうち、「中古住宅」という言葉の「中古」の部分を、今ほど気にしなくなる時代が来るのかもしれません。

少なくとも、わが家では、購入した当初から「中古だから」ということを特に気にしたことはありません。

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