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不動産鑑定士に向いている人【その2】

不動産鑑定士に向いている人【その2】

不動産鑑定士という職業は、一見すると地味そうに思えるかもしれません(そのとおりです)。しかし、実際には不動産市場の動きを丁寧に分析し、その価値を適正に評価する重要な役割を担っています。

不動産市場は日々変化しており、法律改正、金融政策、新たなテクノロジーの登場など、学び続けることが求められる分野です。学ぶことが好きで、知識を深めながら成長したいと考える人には、やりがいのある仕事といえるのかもしれません。

本記事は、4年前に私が書いた「不動産鑑定士に向いている人」という記事の内容を踏まえて、あくまで個人的な感想ではありますが、新たな要素も追えつつ、もう一度深掘りしてみたいと思います。

不動産鑑定士に向いている人

1. 数字やデータ分析が好きな人

不動産鑑定士は、土地や建物の価値をデータと理論によって評価します。市場の取引事例、地価の変動、利回りの動向、金利の動きなど、数字が語るストーリーを読み解く能力が求められます。ただの計算ではなく、経済の変動がどのように資産価値へ影響を与えるのか、その因果関係をひたすら突き詰めたい人に向いています。

2. 社会の動きに敏感な人

不動産価格は単なる物理的な価値だけでは決まりません。政治、経済、都市計画、さらには社会心理学的な要素まで絡み合って変動します。そのため、市場の動向(ニュース)に敏感で、かつ全体の流れを冷静に分析できる人が向いています。トレンドを見極め、「このエリアの未来はどうなるのか?」を推測するのが楽しいと思える人に適性があると思います。

3. 対話を楽しめる人

不動産鑑定士は、単に机の上で計算だけする仕事ではありません。企業、銀行、資産家など、さまざまなお客様との交渉が必要になります。「この土地の価値は1億円です」と言えば「なぜ?」と質問されます。専門的な知識を駆使しながら、相手を納得させる論理的な説明が求められます。

4. ひたすら細かい作業に没頭できる人

鑑定評価の業務は、現地調査・データ整理(査定作業)・報告書作成の連続です。求められるのは細部へのこだわりと、ただひたすら正確な情報を積み重ねることです。一つの誤りが数千万円の評価差につながることもあるため、細かい作業を丁寧に進めることが好きな人には向いている職業だと思います。

5. 学び続けることができる人

不動産市場は生き物のように変化し続けます。法律改正、金融政策、新たな不動産テクノロジーの登場など、学ぶべきことは尽きません。決して頭がよい必要はありませんが(頭がよくなくても不動産鑑定士になれます、私のように)、自ら情報を収集し、コツコツと知識をアップデートし続ける意欲がある人なら、この仕事は奥深く、やりがいを感じると思います。

6. 現場主義な人

不動産鑑定士の仕事は、机上の理論だけで完結するものではありません。現地を訪れ、街の雰囲気を感じ、実際の土地や建物を目で確認することが最も大切です。「なぜこの地域の地価が上がっているのか?」「この道路が開通したら、このエリアの価値はどう変わるのか?」といった視点を持ち、都市や地域の変化に関心を持つ人に適しています。あとは一日中歩き回ることもあるので、体力も必要です。

7. 一人での作業が苦にならない人

鑑定業務は、企業に勤めていても作業自体は一人で進めることが多い仕事です(補助者でなければ)。一人で物件を見て、膨大なデータと向き合い、地道に報告書を作成する作業が延々と続きます。チームワークが苦手というわけではなくても、一人の時間を大切にし、黙々と作業するのが苦にならない人には向いている仕事です。「孤独に耐えられないと厳しい?」というわけではありませんが、内省的な時間を楽しめる人には向いています。

8. 独立志向がある人

不動産鑑定士は、資格取得後、十分な実務経験があれば独立しやすい仕事の一つです。企業に勤める道もありますが、少なくない鑑定士は独立開業し、専門知識を活かして活動しています。自分の裁量で仕事を進め、自分や家族も大切にしつつ、ワークライフバランスを重視して長期的なキャリアを築いていきたいと考える人にとっては、大きな魅力がある職業です。

まとめ

不動産鑑定士は、不動産市場の動きを読み解き、社会の中で公平かつ適正な価値判断をする専門家です。数字を正確に扱い、細かい作業をこなしながら、関係者との調整や説明を行うことが求められます。

とはいえ、ここで挙げたすべての資質を持ち合わせている必要はありません。私自身も、もちろんすべてを満たしているわけではなく、日々試行錯誤しながら仕事をしています。こんな私ですが、不動産の価値を適正に評価することの大切さや、社会の役に立てることにやりがいを感じています。

向き不向きはあると思います。また、「華やかな職業です!」と胸を張って言えるかというと、そうでもありません。しかしながら、裏方として社会の大きな流れを支える、素朴で実直な仕事です。そんな仕事に魅力を感じる方なら、この道を目指してみてはいかがでしょうか。

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