不動産鑑定士（以下、鑑定士）と宅地建物取引士（以下、宅建士）は、不動産取引を媒介にして密接な関係を持っています。

例えば、宅建士に鑑定士が取引相場感についてヒアリングした際は、不動産の売買や賃貸などの取引における鑑定評価の適切な価格設定や物件評価のための不可欠な情報を提供してくれます。

一方、鑑定士は不動産の正確な評価や鑑定評価書の作成を通じて、宅建士が適切な取引を行うための基盤を提供する役割を果たしています。

具体的には、宅建士は顧客からの要望や市場動向などを踏まえて、不動産の売買や賃貸に関する価格（賃料）提案を行いますが、この際、鑑定士が査定した地価公示、地価調査、相続税路線価、固定資産税路線価などの鑑定評価額を参考に、物件の価格や賃料相場などを算出しています。

宅建士には独自の情報ネットワークがありますから、宅建士が持つ市場における情報収集力やネットワークに対して、さらに鑑定士の提供する上記のような鑑定評価情報が加わることで、より正確な価格設定を行うことができます。

また、鑑定士は宅建士とともに、不動産取引における紛争解決の支援もしています。不動産取引のトラブルの多くは、取引価格の不当な操作や、宅建士の価格査定に対する異議などが原因となります。このようなトラブルが生じた場合、鑑定士は適正な評価額を提供し、トラブル解決のための判断材料を提供しています。

鑑定士と宅建士の関係は、不動産の取引における「航海士」と「港湾労働者」のようなものです。

鑑定士は、航海士のように不動産市場の荒波を渡りながら、船を正しい方向に導く役割を果たします。鑑定士は不動産の価値を正確に評価し、買い手や売り手にフェアな評価額を提供します。それはまるで、地形や気象条件などの重要な要因を考慮して目的地に到達するための最適なルートを計画する船長のような存在です。

一方、宅建士は港湾労働者のように、港で船を受け入れる役割を果たします。宅建士は売り手と買い手をつなぎ、取引を円滑に進めることが役割です。宅建士は船を係留するための適切な場所を提供し、必要な修理や補修を行うことができます。

このように、鑑定士と宅建士はそれぞれのスキルや専門知識を活用して、不動産の取引をスムーズに成功させるために協力し合っています。

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