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令和8年地価公示が公表される

令和8年地価公示が公表される

令和8年地価公示が公表されました。全国では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇し、全用途平均は+2.8%、住宅地は+2.1%、商業地は+4.3%となっています。三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇基調が続いており、全体として地価はまだしっかりしている印象です。

地価公示は、不動産鑑定士が現地確認や資料分析を重ねながら価格を判定していく仕事です。私自身も、こうした公的評価に10年以上携わってきました。
私もこれまで、千葉市、習志野市、船橋市(相続税路線価)、柏市、野田市、茂原市、市原市、袖ケ浦市、そのほか長生郡内の市町村などを担当してきました。不動産鑑定士の中でも、千葉県内でここまで広い範囲の公的評価に継続して関わるケースは、それほど多くないかもしれません。正直かなり大変でしたが、その分、千葉県の地価を地域ごとの温度差まで含めて見る感覚は、少しは養われてきたように思います。

ただ、公示地価を長く見ている立場からすると、全国平均や県平均だけで相場を語るのは少し危ないです。地価公示価格は、あくまで近隣地域の標準的な画地の価格であって、地域内のすべての土地を一律に示すものではありません。実際の価格は、地積、形状、接面道路の状況など、個別要因によってかなり違ってきます。

その意味で、令和8年の千葉県はかなり興味深い年でした。県全体としては強いのですが、県内を丁寧に見ると、上がる地域の理由がそれぞれ違っています。私は今年の千葉を見て、「二極化」というより、多極化が進んできたと感じています。

まず全国はどうだったのか

全国の地価動向をざっくり整理すると、次のようになります。

区分変動率
全用途平均+2.8%
住宅地+2.1%
商業地+4.3%

全国では、景気の緩やかな回復を背景に上昇基調が続いています。特に商業地は、店舗・ホテル需要、再開発期待などを背景に上昇幅が拡大しています。

全国の公示地価は毎年ニュースになりますが、実務では全国平均そのものよりも、「どの地域が、なぜ上がったか」のほうがずっと大事です。千葉県はまさに、その差がよく出た県だと思います。

千葉県全体の印象

県平均はかなり強い

まず、千葉県全体の数字を見ると、かなりしっかりしています。用途別平均変動率は、全用途平均+5.0%、住宅地+4.6%、商業地+5.8%、工業地+9.3%でした。継続調査地点ベースでも、全用途平均では1,196地点のうち1,058地点が上昇、80地点が横ばい、58地点が下落となっており、かなり広い範囲で上昇が及んでいます。

区分平均変動率
全用途平均+5.0%
住宅地+4.6%
商業地+5.8%
工業地+9.3%

ここだけ見ると「千葉はどこも強い」と言いたくなります。ただ、実際にはそう単純でもありません。平均が強い一方で、地域差はかなりはっきりしています。ここが今年の千葉を見るうえでいちばん大事な点だと思っています。

千葉の住宅地

流山、松戸、鎌ケ谷の強さが際立つ

住宅地の県平均変動率は+4.6%でした。調査対象53市区町村のうち、37市区町で上昇、4市町で横ばい、12市町村で下落となっています。県全体では上昇優勢ですが、すべての地域が同じように強いわけではありません。

順位市区町村平均変動率
1位流山市+13.3%
2位松戸市+8.7%
3位鎌ケ谷市+7.5%

さらに、標準地別の上昇率ランキングを見ると、上位3地点はいずれも流山市でした。数字の出方を見ても、流山の強さはかなりはっきりしています。

順位標準地所在変動率
1位流山-15美田+18.9%
2位流山-8東初石2丁目+18.8%
3位流山-2西初石4丁目+18.5%

このあたりは、実務感覚ともかなり一致します。流山は単に話題性があるというだけではなく、東京への通勤利便性街の新しさ子育て世帯との相性住宅需要の厚みがそろっています。私は流山の上昇は、もう一過性の人気ではなく、かなり構造的なものになってきたと見ています。

住宅地の下落地域も残る

順位市区町村平均変動率
1位銚子市△2.8%
2位九十九里町△1.2%
3位白子町△0.9%
3位長生村△0.9%

標準地別の下落率上位も銚子市が並んでいます。県内でも、強い地域と弱い地域の差はかなりはっきりしています。

順位標準地所在変動率
1位銚子-4橋本町△3.6%
2位銚子-3栄町4丁目△3.4%
3位銚子-1清川町2丁目△3.3%

ここを見ると、千葉県はやはり一枚岩ではありません。都心近接エリアや人気住宅地はかなり強い一方で、外房・東総方面ではまだ弱さが残ります。同じ千葉県内でも、首都圏の住宅地として見られている地域と、人口減少下の地方圏として見られている地域が同時に存在しています。

住宅地は「高い地域」と「よく上がる地域」が少し違う

順位市区町村平均価格
1位浦安市393,400円/㎡
2位市川市306,700円/㎡
3位習志野市204,400円/㎡
順位標準地所在価格
1位市川-64市川1丁目1,100,000円/㎡
2位習志野-23奏の杜3丁目548,000円/㎡
3位市川-35菅野2丁目490,000円/㎡

ここで面白いのは、「高価格帯の地域」と「上昇率が高い地域」は必ずしも一致しないということです。浦安や市川はもともとの価格水準が高く、住宅地としてのブランドや都心接近性が地価を支えています。一方で、流山や松戸、鎌ケ谷は、相対的な割安感や生活利便性の改善、将来期待が上昇率に表れています。

千葉の商業地

流山、船橋、千葉市が目立つ

商業地の県平均変動率は+5.8%でした。調査対象49市区町村のうち、34市区で上昇、7市町で横ばい、8市町村で下落となっています。

順位市区町村平均変動率
1位流山市+12.8%
2位千葉市稲毛区+9.7%
3位船橋市+9.6%

標準地別の上昇率ランキングでも、船橋と流山が上位に入っています。商業地も、上がる地域は近年変わらず、かなりはっきりしています。

順位標準地所在変動率
1位船橋5-9本町7丁目+14.7%
2位流山5-3西初石3丁目+14.6%
3位流山5-2江戸川台東2丁目+14.1%

商業地は、住宅地以上に「その街にお金が落ちる構造があるか」が大事だと私は思っています。人が多いだけでは弱くて、オフィス需要、買物、飲食、通勤利便性、再開発、滞在、乗換えといった要素が重なって、はじめて賃料や地代の強さにつながります。その意味で、船橋はやはり県内でもかなり強いですし、千葉市も県都としての集積がしっかり地価に反映されています。

船橋・千葉・市川の存在感が大きい

順位地点価格
1位船橋5-1(本町4丁目)2,920,000円/㎡
2位千葉中央5-1(富士見2丁目)2,890,000円/㎡
3位市川5-4(八幡2丁目)2,780,000円/㎡
順位市区町村平均価格
1位市川市1,357,100円/㎡
2位浦安市1,103,800円/㎡
3位船橋市760,300円/㎡

個人的には、船橋の強さにはかなり納得感があります。駅の集客力、広域商圏、都心アクセス、乗換結節点としての厚みがそろっているからです。千葉中央も、昨今の駅前再開発や県都としての中心性を考えれば高い価格水準は自然だと思います。

千葉の工業地

工業地の強さは続くが

工業地の県平均変動率は+9.3%でした。調査対象24市区町はすべて上昇、継続調査地点68地点も全地点で上昇しています。

順位市区町村平均変動率
1位千葉市美浜区+15.5%
2位松戸市+15.0%
3位印西市+13.5%

標準地別の上昇率上位は、いずれも千葉市美浜区の新港です。

順位標準地所在変動率
1位千葉美浜9-4新港16.0%
2位千葉美浜9-1新港15.7%
3位千葉美浜9-3新港15.6%

これは、ここ数年の千葉県の地価を読むうえでかなり重要なポイントです。千葉県は、湾岸部、外環、圏央道、成田方面など、東京へのアクセスの良さが物流立地として評価されやすい要素を多く持っています。しかしながら、このような物流適地の価格高騰や供給不足から、物流適地の南下傾向が続き、現時点では新港の評価の高さが、そのまま数字に出ている印象です。

千葉市について

派手ではないがかなり底堅い

千葉市は、住宅、商業、工業のそれぞれで違う強さを持っています。全用途平均の市区町村別平均変動率において、住宅地では千葉市美浜区+8.5%、商業地では千葉市稲毛区+9.7%、工業地では千葉市美浜区+15.5%と、複数用途で存在感があります。

東京23区のような派手さはありませんが、県庁所在地としての集積、千葉駅周辺の求心力、幕張のオフィス需要の厚み、湾岸物流の強さがあり、需要源が一つではありません。私はこういう都市は案外しぶといと思っています。何か一つに依存している街より、複数の需要で支えられている街のほうが、地価は崩れにくいからです。

今年の千葉をどう読むか

「二極化」より「多極化」と見たほうが実感に近い

令和8年の千葉県については、私は多極化と見たほうが実態に近いと思っています。流山・松戸は住宅地としての強さ、船橋・千葉中央は商業集積としての強さ、千葉美浜や市川は物流・工業立地としての強さがあり、一方で銚子や外房方面には弱さが残っています。

同じ「上昇地域」でも、何が上昇を支えているかはかなり違います。実務でも、そこを丁寧に見分けることが大事だと思っています。住宅需要で上がっている地域と、物流需要で上がっている地域では、今後注目すべきリスクや継続性が全く違うからです。

まとめ

令和8年地価公示の千葉県は、県平均で見ればかなり強い内容でした。

ただ、現場感覚として強く思うのは、「千葉は上がっている」で話をまとめることができないということです。流山、松戸、鎌ケ谷、船橋、千葉市、美浜区、市川、浦安のように強い地域がある一方で、銚子、九十九里、白子、長生村などにはまだ下落が残っています。県平均は強いですが、その裏で地域差はかなり広がっています。

地価公示は、相場の空気を知るには本当に良い資料です。ただし、それはあくまで入口です。実際には、地域要因と個別要因を丁寧に見ないと、本当の相場観はつかめません。今年の千葉を見て、改めてそう感じました。「どの街が、なぜ上がったのか」を地道に追うことのほうが、結局はいちばん大事なのかなと思います。

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