年末が近づくと、毎年恒例の「年賀状作り」が頭をよぎります。個人としても、法人としても、この文化には長く親しんできました。手書きで一言添えるときの緊張感や、届いた年賀状を一枚一枚めくりながら、懐かしい顔ぶれを思い出す時間は、私にとって特別なものでした。ですから、今年この「年賀状」という習慣から卒業しようと決めたのは、少し勇気のいる決断でした。
誤解のないようにお伝えしたいのは、私は年賀状を否定しているわけではありません。この文化には大きな価値があります。年始に想いを伝え合うことで、人と人とのつながりを再確認できる素晴らしい機会だと思います。特に、私自身、年賀状でしかつながっていない友人がいることも事実で、それが縁の糸を細くともつないでくれているのだと感じます。ただ、私自身のライフスタイルや仕事の環境が変わる中で、この習慣を見直す時期にきたのではないかと考えました。
個人としての年賀状は、子供の写真選びやデザインの選定に時間がかかり、法人としての年賀状は、相手先に失礼がないよう、気遣いが求められます。また、年賀状購入、宛名管理、郵送手配に至るまで、それなりの時間と手間がかかります。その一方で、現代ではメールやSNSといった連絡手段が普及し、相手の生活スタイルに合わせた形でコミュニケーションを取ることが求められる時代になっています。近年この変化を感じるたび、「年賀状ではなく、他の形でも十分ではないか」と考えるようになりました。
また、個人的にも、家族との時間や自身の仕事に注力するため、効率を重視するようになりました。年末の忙しい時期に多くの時間を割いて準備をすることが、他の重要な事項とのバランスを取る上で負担になると感じるようになりました。これは、年賀状を軽んじるということではなく、自分が大切にしたいものを明確にするための選択です。年賀状を送ることをやめたとしても、その代わりに直接お会いした際に挨拶をする、またはメールなどで感謝を伝えるなど、別の形でつながりを大切にしていきたいと思っています。
もちろん、長年親しんできた年賀状をやめることには少しの寂しさがあります。特に、年賀状のみでつながっていた方々との関係がどうなるのか、一抹の不安も感じています。しかし、これをきっかけに、自分自身が大切にしたいものや人との向き合い方を再定義し、また違った形で関係性を築いていきたいと考えています。
最後に、これまで年賀状を通じてつながってくださった皆さまに、改めて感謝申し上げます。そして、恐縮ではございますが、今年から当社(または中田)への年賀状はどうぞお控えいただきますようお願い申し上げます。これまでたくさんの温かい年賀状をいただき、本当にありがとうございました。その想いに感謝しつつも、これからは別の形で感謝やご縁を大切にしていきたいと思っております。
どうぞ来年も変わらぬご厚情をよろしくお願い申し上げます。