COLUMN コラム

1億円時代の東京マンション、新築 vs 中古の経済合理性を検討する

1億円時代の東京マンション、新築 vs 中古の経済合理性を検討する

新築マンションの価格が天井知らずの上昇を続ける中、いま東京で「現実的な選択肢」として脚光を浴びているのが、築浅リノベーションマンションです。

不動産の現場で肌身に感じているのは、新築マンションの価格がもはや一般の実需層の手の届かない水準にあるという現実です。特に東京23区内では、もはや「新築を買う」ということが資産性のある選択ではなく、「割高なラグジュアリー品を買う」行為になってしまっているように思えます。

その象徴とも言えるのが、2025年6月に報じられた「東京23区の中古マンション、平均価格がついに1億円台に突入した」というニュースです。新築ならなおのこと、1億円どころか1億2,000万円〜1億5,000万円がざらで、「月々の返済が40万円を超える」物件も珍しくありません。

この水準になると、年収1,500万円〜2,000万円の共働き世帯ですら、新築購入に躊躇するレベルです。一方で、同じ立地・同じ管理体制であっても、「築10年〜15年程度」の築浅マンションであれば、リノベーションを施すことで「新築同様」に近づけつつも、価格は2〜3割安く抑えることができる。これは非常に合理的な選択肢です。

たとえば、同じ千代田区内で70㎡のマンションを探す場合、新築は1億5,000万円以上になるのに対し、築12年でフルリノベ済みの物件なら、1億円前後で購入できるケースもあります。この“新築と変わらない快適性と“中古ならではの価格的納得感”のバランスが、いま人気が集まっている理由です。

インバウンドマネーが押し上げる価格と、区による規制の動き

マンションの価格上昇に拍車をかけているのが、海外からの旺盛な投資需要です。特に円安が続く中、東京の不動産は「割安な資産」として世界中の富裕層に注目されています。中国、台湾、香港、シンガポールなどのアジアマネーに加え、最近では中東・欧州からの引き合いも見られます。

その結果として、本来は実需層が購入すべき物件が、投資目的で買われ、賃貸または空き家となってしまうという現象も起きています。本コラムでもご紹介しましたが、こうした状況に危機感を覚えたのか、2025年7月に千代田区が「5年間の転売禁止」「同一人物による複数購入の禁止」など、異例の要請を発表しました。

これは日本では極めて珍しい動きで、実需層の住環境を守るための“本気の防衛策”と言えます。今後、他の区や自治体でも同様の規制が広がる可能性は十分にあると考えています。

「資産」と「生活」

私は日々、不動産の価値を「経済合理性」と「市場の需給」の両面から見つめていますが、現在の東京23区の新築価格には、明らかに「過熱感」があります。一方で、中古マンション市場には、まだ価格と価値のバランスが取れた物件が点在しているのも事実です。

「家は資産か?消費か?」という議論は尽きませんが、東京に住みたいという願いを叶えるうえで、中古の“築浅リノベ”という選択は、合理性・価格・快適性を兼ね備えた、現実的な落としどころではないでしょうか。

金利も上昇局面にありますし、もしも住宅ローンの承認が厳しいと感じているなら、なおさら「新築にこだわらない」ことが大切だと思います。中古を前提に資金計画を立てれば、金融機関の評価も得やすく、将来的な資産価値の下落リスクも抑えることができる──これが、率直な感想です。

結びに

「今買うべきか?」という問いに明確な答えはありませんが、新築一択ではく、選択肢を広げることが、後悔のない不動産購入につながるのではないかと思います。

今後の政策や規制動向、金利の推移、供給状況などを注視しつつ、無理のないローン計画とライフスタイルに合った選択をしていきましょう。

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