この夏から、地価公示の分科会が事務所の近くに戻ってきた。
元々、固定資産税評価員としても担当している地域でもあり、ようやく自分の働く場と暮らしが重なった感覚がある。希望がようやく、かたちになった。
これまでの分科会は、正直に言えばなかなか大変だった。
そもそも一度も希望を出したことがなかったのに、なぜか突然割り当てられたのは、自宅から2〜3時間はかかる遠方の分科会だった。
とくに野田や柏方面への現地調査がある日は、家族が寝静まる中、朝4時に起きて家のことを済ませ、5時には車で出発。渋滞を避けようにも、国道はすでに大型トラックであふれ、時間との戦いのような日々が続いた。
運転は嫌いじゃないけれど、子供達も小さく手もかかる状態で、あの日々はさすがにきつかった。
当日の段取りに加え(一日に多方面を回って調査を終えなければならない)、長距離運転の疲労と時間の制約。家族にも負担をかけていたと思う。
それでも、あの分科会では「人」に恵まれた。
少し年上の地元鑑定士の方々が多かったけれど、皆さん本当に温かく、外部から来た私のような立場に対しても壁をつくらず、自然体で受け入れてくれた。
柏という土地のもつ明るさや開放的な気質もあったのかもしれない。最初は緊張していた私も、気づけば冗談を交わしながら率直に話せるようになっていた。
仕事の枠を超えて、また会いたいなと思える方々に出会えたことは、あの時間の中で得た大きな財産だと思っている。
そして今、ようやく希望がかなって、地元近くの分科会に戻ってこれた。
仕事はしやすく、なにより、移動時間が減ったことで、家庭との両立にも大きな余裕が生まれた。
朝のバタバタも、現地への道のりも、今となっては懐かしく思えるほど、心にゆとりができた気がする。
日々の業務に向き合うスタンスも、少しずつ変わってきた。
移動時間にとらわれることなく、自分のペースで。そんな働き方ができる今の環境に、心から感謝している。