2025年3月14日、弊社として初めて取り組んだ自社開発の賃貸物件が、外構工事を含めてようやく完成を迎えました。そして同じ日に、すべての部屋にお申込みをいただき、ありがたいことに満室となりました。
こうして結果だけを見れば順調に思えるかもしれませんが、そこに至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。工期の遅れや想定外の出費、金利の上昇など、さまざまな壁に直面し、精神的にも金銭的にも追い詰められる日々が続きました。眠れない夜もありましたし、胃が痛くなるほど悩んだ時期もありました。
それでも、最後には満室という形で報われた今、この経験をきちんと言葉に残しておくことで、今後同じような挑戦をされる方々の一助になればと願い、ここに私なりの振り返りと反省を記しておきたいと思います。
想定外の工期遅延
当初の建築計画では、2025年1月初旬には建物が完成する予定でした。しかし、基礎工事中の天候不順や資材調達、人員確保などの影響もあり、工期は何度か延期され、最終的に建物自体が竣工したのは2月27日。さらに、外構工事の完了は3月14日までずれ込むことになりました。
既に金融機関からの融資は夏頃から始まっており、利息や融資手数料の支払い、土地の税金や登記など諸々の費用が続々と発生しているなかで、賃料収入の見込みが立たない日々が続いたことは、精神的にも大きな重荷となりました。
契約内容への認識不足
もう一つの大きな反省点は、外構工事に関する費用の認識違いです。私は物件取得費用に外構工事も含まれていると理解していたのですが、実際には別途費用が発生しました。契約書の文面も曖昧であったため、最終的に追加費用を負担することになりました。
このような事態は、明確な契約内容の確認と、不動産業者との丁寧なすり合わせを怠った私の責任でもあります。費用負担の線引きは、やはり事前にしっかり詰めておくべきだと痛感しました。
想定を超えた金利上昇の影響
さらにもう一つ、大きな影響を与えたのが金利の上昇です。このプロジェクトにおいては、変動金利での融資を受けていたのですが、2024年8月と2025年3月の2度にわたり、金融機関からの金利見直しが行われました。結果として、融資の返済額が当初の想定よりも増加し、キャッシュフローを圧迫することになりました。
賃料収入がまだ始まっていない段階で、利息の支払いだけが先行している状況。そして、さらに想定を超える金利上昇による返済額の増加、工期の遅れ、外構の費用負担──この二重三重の負担は、正直なところ精神的にも非常に苦しいものでした。
独立してからいくつもの仕事に取り組んできましたが、この数カ月ほど、「このままで本当に大丈夫だろうか」と自問自答を繰り返した時期はありませんでした。資金繰りの帳尻を合わせるために、手元資金を何度も見直し、精神的にも張り詰めた日々が続きました。
金利は経済環境に左右されるため、ある程度の上昇リスクは想定していたつもりでしたが、今回のように短期間で2度の見直しが入るというのは想定外でした。金利上昇局面での物件開発は、キャッシュフローによりシビアな目配りが必要であることを、身をもって実感しました。
リーシングの壁と、満室までの道のり
建物の完成が当初の予定が1月初旬だったのが2月末に延期したことにより(外構を含めると3月中旬まで)、それまで入居希望者が満足に内覧ができず、リーシングも思うように進みませんでした。さらに、リーシングをお願いしている管理会社によれば、今年の1月・2月は千葉市全体でも賃貸市場の動きが鈍かったとのこと。私自身も不安を募らせる日々が続きました。
しかし3月に入り、建物の完成とともに市場の動きも活発化し、そこから約2週間で一気に全室(9室)にお申込みをいただきました。このときの安堵感と感謝の気持ちは、言葉では言い尽くせません。
全てが報われた日
外構が完成した2025年3月14日、私は朝から現場に足を運びました。この日は、完成したばかりの建物の最終確認とともに、まだ入居が始まっていない各部屋の中を一室ずつ丁寧に掃除しました。床や棚のほこりを拭き取り、窓ガラスを磨き、ベランダや給湯器のチェックも行いました。
それに加えて、共用部──エントランスや共用廊下、階段、敷地内の設備や細かなごみ拾いまで、心を込めて清掃しました。この建物が、これから住んでくださる方々にとって「帰ってきてほっとできる場所」になるようにという思いを込めて。
作業を終えて建物をぐるりと見渡したとき、心の中にはようやく一区切りがついたという安堵感と、それでもなお「本当に全室入居は決まるのだろうか」という不安が、正直まだ少し残っていました。
しかし、その日の16時頃、自宅に戻った私に管理会社の担当者から連絡が入りました。
「本日、すべてのお部屋にお申込みが入りました。満室です。」
一瞬、耳を疑い、それからじわじわとその言葉の重みが胸に広がっていきました。長かった苦労とプレッシャーが一気にほどけていくような感覚でした。電話口で何とか冷静を保ちましたが、心の中では小さく震えるような感動がありました。
最後に
初の自社賃貸開発プロジェクト──2024年6月から2025年3月にかけて、本当に多くの困難がありましたが、今振り返ってみると「やってよかった」と心から思えます。文章にすると簡単に感じられるかもしれませんが、実際には本当に苦労の連続でした。
費用計画やスケジュール管理、契約内容の確認、そして精神的な余裕の持ち方など、反省すべき点は数多くありました。しかしその一方で、不動産鑑定士という本業をこなしながら時間的制約のある中、試行錯誤を重ねながら完成したこの物件は、自信を持って「良いものができた」と言える仕上がりになったと感じています。
そして、(これで終わりではありませんが)満室という結果を迎えることができたことは、大きな達成感を生み、その経験はかけがえのない財産となりました。今回得た学びを糧に、今後もより堅実で、信頼していただける仕事を一つひとつ積み重ねてまいります。
最後に、本プロジェクトにご協力いただいた不動産業者・施工業者の皆様、管理会社の皆様、そしてご入居いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。