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長期金利の解説と動向

長期金利の解説と動向

物価上昇がさけばれる昨今、物価と関わりが深い長期金利についての理解を深めるために、まずは長期金利とは何かを説明してみたいと思います。

長期金利とは、長期間にわたって借り手が支払うべき金利のことで、国債利回りなどが代表的な指標となります。長期金利は、将来のインフレーション(物価上昇)を予想する市場の期待に基づいて決定されます。

以下、最近の動向を含めた長期金利について具体的に解説していきます。ご興味がありましたらお付き合いください。

長期金利の世界的な動向

2022年後半からは、インフレ懸念が高まるなどの要因から、世界的に長期金利が上昇する動きがありました。特に、米国10年債利回りは2.5%を超えるなど、過去数年間で最高水準を更新しました。

一方、2023年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速や中国経済の減速などの要因から、一部の国では長期金利が低下する傾向にあります。例えば、日本の10年債利回りは0.05%を下回るなど、低水準を維持しています。

日本の10年債利回りの動向と今後の予測

上記のとおり、現在の日本の10年債利回りは非常に低い水準であり、0.05%前後で推移しています。ただし、過去数ヶ月間では、世界的な長期金利の上昇に伴い、日本の10年債利回りも上昇傾向にあります。

ただし、今後どこまで上昇するかについては明確な予測は難しいです。なぜなら、金利は多くの要因に影響を受けるため、景気の先行きや政策金利の動向、国際情勢などによって変動する可能性があるからです。

また、日本の金融政策には長期金利を安定的に維持することが含まれており、必要に応じて市場介入を行うことがあります。そのため、日本の10年債利回りがどこまで上昇するかは、今後の経済情勢や政策の動向によって変化する可能性があります。

令和5年4月に日本銀行の総裁が10年ぶりに交代し、新総裁は「現在の日銀の金融政策は適切。緩和を継続する必要がある。」としていますが、実際のところ、どうなんでしょうね。少なくとも現時点ではわかりません。

長期金利の上昇・下降の影響

長期金利が上昇すると、貸し手側はより高い金利を受け取ることができるため、貸し手にとってはプラスの影響があります。一方、借り手側はより高い金利を支払わなければならなくなるため、借り手にとってはマイナスの影響があります。

反対に、長期金利が低下すると、貸し手側はより低い金利しか受け取ることができなくなるため、貸し手にとってはマイナスの影響があります。一方、借り手側はより低い金利で借り入れることができるため、借り手にとってはプラスの影響があります。

総じて言えることは、長期金利の動向によって、借り手と貸し手の利益が変動するということです。また、長期金利は経済の活況や不況などの指標としても利用されるため、金融市場全体の動向を知る上で重要な指標となっています。

金利の上昇と住宅ローンの関係

もう少し身近なものに置き換えて説明しますね。金利の上昇は、住宅ローンの返済に影響を与えることがあります。以下に金利の上昇と住宅ローンの関係について具体的に説明します。

●金利上昇時の住宅ローン

金利が上昇すると、住宅ローンの金利も上昇する可能性があります。その結果、返済期間中の利息負担が増加するため、月々の返済額も増加することがあります。また、金利の上昇によって、借り手が借り入れられる資金の額が減少する可能性があります。これは、銀行や金融機関が貸し出す際のリスク評価によって決まるためです。

●金利低下時の住宅ローン

金利が低下すると、住宅ローンの金利も低下する可能性があります。その結果、返済期間中の利息負担が減少するため、月々の返済額も減少することがあります。また、金利の低下によって、借り手が借り入れられる資金の額が増加する可能性があります。これは、上記と同様に銀行や金融機関が貸し出す際のリスク評価によって決まるためです。

ただし、住宅ローンの金利は、固定金利と変動金利があります。固定金利の場合、金利変動の影響を受けず、借り入れ時の金利が返済期間中に一定であるため、金利の変動による影響を受けません。一方、変動金利の場合、金利が変動するため、金利上昇時には返済額が増加する可能性があります。

まとめ

では最後にまとめます。

●長期金利は、債券市場で長期の債券を買うことで得られる利回りのことです。
●長期金利は、将来のインフレ(物価上昇)を予想する市場の期待に基づいて決定されます。
●最近は、世界的に長期金利が上昇傾向にあり、日本の10年債利回りも若干の上昇が見られます。
●長期金利の動向は、住宅ローンの返済に影響を与えることがあります。

ここからは個人的な所感ですが、長期金利は市場の経済予想や中央銀行の政策金利など、多くの要因によって影響を受けますが、金利変動の予測は非常に困難であるため、個人的には過度な期待や恐れに基づく大きな買い物(例えば不動産など)は避けた方が無難だと思います。

なぜなら、確かに不動産を適切なタイミングで購入することで(潜在的なものも含めて)利益を得ることができますが、不動産は自分自身や家族の”今の”幸せにも直結するため、個人的には本当に必要な時期に購入することが、最も大切だと思うからです。

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