COLUMN コラム

この職業を選び続ける理由

この職業を選び続ける理由

不動産鑑定士としての仕事は、細部にわたるデータと事実を論理性を持って扱うことが多く、表面上はとても冷静で技術的な職業に思えるかもしれません。しかし、個人的に最も楽しいと感じる瞬間があります。それは、鑑定評価書を練り上げ、肉付けし、書き直していく段階です。

評価書を何度も見直すことで、徐々に「完成形」に近づきます。この過程は、ある意味創造的な作業です。評価書が形になり、その精度と完成度が高まるにつれて、達成感も深まっていきます。事務所にこもり、評価書を良いものにしようと何度も考え、作り直していく過程が楽しくて仕方がありません。

晴れた日の実地調査も(真夏・真冬を除けば)楽しい時間です。ただの理論だけでなく、実際の土地や建物を体感することで、より詳細な情報を評価書に反映させるための重要なステップですから。しかし、私にとっての鑑定評価の一番の魅力はやはり、評価書を推敲し、それが具体的な形をなしていく段階です。

なぜこれほどまでに鑑定評価書の推敲を楽しむのか、自分でも明確な理由はよくわかりません。ただ、それが私の専門性を最も表現できる場であり(逆に言うとこれしかできない)、それが具体的な形になっていくという点で、充実感を覚えます。本音を言えば、時間が許す限り推敲していたいとさえ思います。

鑑定評価を行う際、私はお客様が当社を信頼し、依頼してくださることを深く意識しています。この評価書が形としてお客様の人生や社会に少しずつ影響を及ぼしていくことを考えると、長年にわたり作成してきた数多くの評価書ごとに、深い責任感を感じます。

このような瞬間は、不動産鑑定士としての仕事が単なる数字やデータを超えて、人々の生活に寄り添うものであることを実感させてくれます。この達成感もまた、私がこの職業を選び続ける理由です。

CONTACT
お問い合わせ

相談のご予約や当社へのお問い合わせは、
以下よりお気軽にご連絡ください。