日本では新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、加藤官房長官公表ではワクチン2回目の接種者の割合が9月12日付けで50.9%になったとのことです。
しかしながら、コロナ禍にあって一部の民間企業にとって新型コロナの影響は大きく、2020年以降は企業業績の悪化による事業縮小に伴い、自社物件を手放す動きも散見されます。
例えば昨日のニュースでも、JTBが資金確保のため、保有する東京本社ビルなど2棟を300億円程度で売却したとありました。
そんな中、9月12日の日本経済新聞のニュースで「国内不動産にマネー流入 ファンド運用、最高の44兆円」という記事がありました。
(日本経済新聞) 国内不動産にマネー流入 ファンド運用、最高の44兆円
同記事によれば、J-REIT、私募ファンド等の運用資産額は、2021年6月末で「44兆1000億円」となり、過去最高を更新。
特に「私募ファンド」の増加が顕著で、地銀や信金などの地域金融機関が不動産投資に注力しているとのことです。
※私募ファンド:特定又は少数の機関投資家から資金を募る形態のファンドのこと。
2021年3月期には地銀の半数弱が減益・赤字になったというニュースもありましたが、地銀や信金などが高い利回りが見込める不動産投資の割合を増やす動きは、近年顕著に見られるようになりました。
また、本ブログでの何度か取り上げていますが、2020年秋頃から外資による日本の不動産取得が相次いでいます。
例えば香港ファンド(PAG)、カナダの投資ファンド(BGO)、米ゴールドマンなどが数千億から1兆円近くの投資を見込んでいます。
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一時期は落ち込んだ外資系プレイヤーによる日本の不動産取得需要ですが、現在は過去最高の水準にまで回復しています。
主要因はイールドギャップ(国債金利と不動産利回りの差)だと考えていますが、低金利が続く限り、日本への投資需要は旺盛な状態が続くでしょう。
このような外資系に取引されるのは投資適格性の高い大型優良不動産(オフィス、賃貸マンション、物流施設、データセンターなど)がメインとなるものの、地方都市である千葉県内の収益不動産市場でも、特に「船橋」駅周辺では高グレードビルを中心に需要が高まっています。
また、「柏」駅周辺でもエリア内の拡張移転や都内に本社を構える企業によるサテライトオフィス開設の動きが見られ、空室が大きく消化しているなど、コロナ禍にあっても空室率消化が進んでいます(CBRE調べ)。
ただし、国内不動産市場の需要の高まりは感じるものの、懸念点もあります。
不動産市場において、先行き懸念は「金利」であり、金利が上昇すれば不動産価格は下落することになります。
現在はFRBが利上げに踏み切る動きを見せているため、今後も注視すべきと捉えています。