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不動産価格とインバウンドの相互作用

不動産価格とインバウンドの相互作用

今年のゴールデンウイークは、コロナが明けたことや円安の影響で海外に行きにくいこともあって、多くの人が国内旅行に出かけました。私たち家族も上野動物園を訪れましたが、インバウンド(日本に訪れる外国人観光客)を含め、非常に混雑していました。

インバウンドの増加は不動産市場に好影響を与えるものの、地価高騰が人々の生活にも影響を与えています。そこで今回は、インバウンドと不動産価格の関係性と、それが経済や地域社会に与える影響について考察していきたいと思います。

インバウンドの増加と不動産価格の上昇

近年、インバウンドが増加し、日本を含め、多くの国々が観光業における経済効果を享受しています。

インバウンドの増加に伴い、宿泊施設や商業施設などの需要が高まり、不動産価格が上昇しているように、インバウンドの増加と不動産価格の上昇は、相互に影響を及ぼし合っています。

以下に、その関係性を解説します。

インバウンドの増加による需要の高まり

インバウンドが増えると、宿泊施設やレストラン、ショッピング施設などの需要が高まります。

この需要の高まりに伴って、商業地を中心とした不動産価格が上昇する傾向が観察されます。特に、都心部に位置する人気観光スポットや駅周辺、交通アクセスが便利なエリアでは、不動産価格の上昇が顕著に現れることが一般的です。

海外投資家による不動産投資

インバウンドの増加により、不動産価格の上昇が見込まれるほか、円安の影響もあり、外国人投資家や国内投資家が日本の不動産投資に積極的です。

宿泊施設や商業施設などへの投資が増えることで、更なる不動産価格の上昇が起こります。これは、投資家が将来的な収益を期待して資産を購入するため、価格が高騰する現象です。

都市部と地方の格差拡大

インバウンドによる都市部と地方の格差も拡大しています。これは、インバウンドの増加が主に都市部に集中することによって生じます。

具体的には以下のとおりです。

観光資源の偏在

インバウンドが訪れる観光地や観光資源は、主に都市部に集中しています。歴史的建造物、文化施設、ショッピングエリアなど、観光客が求める要素が都市部に多く存在するためです。

都市部の観光需要が高まることで、宿泊施設や飲食店、商業施設などのサービスが充実します。

一方で、一般的に地方ではこれらのサービスが不足し、観光客にとって魅力的な要素が都市部と比較して減少します。これにより、観光客がさらに都市部に集中し、地方と都市部の格差が拡大します。

交通インフラの格差・都市部への人口流出

多くのインバウンドは、都市部の交通インフラを利用して移動します。空港や駅など、アクセスが良好な都市部は観光客にとって魅力的であり、一方で地方のアクセスが不便な場所は訪れる観光客が少なくなります。この交通インフラの格差が、都市部と地方の格差拡大につながっています。

また、インバウンドが都市部に集中することで、観光収入や投資が都市部で増加します。これにより、都市部の経済活動が盛んになり、地方の経済活動が停滞することがあります。

結果として、地方の若者が都市部に流出し、地方の人口減少や高齢化が進むこともあります。

地方のインバウンドの恩恵を享受できるような取り組み

インバウンドの増加が都市部と地方の格差拡大につながることがありますが、地方でもインバウンドによる恩恵を受けられるようにするための対策が見られます。

有効な手段として、「地域活性化プロジェクト」と「デジタルマーケティングの活用」を積極的に行っている自治体があります。

具体例を挙げてみましょう。

地域活性化プロジェクト

金沢市は、兼六園やひがし茶屋街などの観光地があり、美しい日本庭園や歴史的建造物を活かした地域活性化プロジェクトが行われています。例えば、地元の金箔を使ったスイーツや工芸品を開発・販売しており、観光客に地域の伝統文化を体験させることで地域活性化を図っています。

また、長崎市は、異文化が交差する街として有名で、世界遺産に登録された教会群や、グラバー園などの観光地があります。同市は地域活性化のために、地元の特産品を活用した料理やスイーツを提供するレストランやカフェが増えており、観光客に長崎の文化を楽しんでもらう取り組みが行われています。

このように両市では、観光客に地元の文化や特産品を提供することで、地域活性化が進められていることがわかります。

デジタルマーケティングの活用

熊本市では、「くまモン」というゆるキャラを活用したデジタルマーケティングが成功しています。くまモンは、熊本県のPRキャラクターとして活動し、SNSやウェブサイトで観光情報やイベント情報を発信しています。くまモンの人気によって、熊本県への観光客が増加し、地域活性化につながっています。

また、岡山市は、桃太郎をモチーフにした観光キャンペーンを展開しています。SNSやウェブサイトを通じて、「桃太郎」という日本の伝説を世界中に発信し、岡山市内の観光地やイベント情報を紹介しています。これにより、インバウンドに岡山市の魅力を知ってもらうきっかけを作り、地域活性化につながっています。

両市では、ゆるキャラなどを利用したデジタルマーケティング戦略を通じて、観光客の関心を引き、地域活性化に寄与しています。

まとめ

インバウンドの増加は、不動産価格にも影響を与える重要な要素です。観光客が集まる都市部では、需要の高まりに伴い一部の地価が上昇している一方、格差が拡大している地方部も見られます。

ただし、地方都市でも地域活性化プロジェクトやデジタルマーケティングの活用によって、観光客を呼び込み、インバウンドの恩恵を受けている自治体も見られます。このような取り組みを続けることで、一部の地方都市はインバウンドを増やし、観光産業や関連産業の発展を促しています。

人が集まることで地域内のサービスや施設が充実し、地方都市自体がより魅力的な場所になるという好循環につながることから、このような取り組みがインバウンドと不動産価格のバランスを維持し、持続的な地域活性化を実現する鍵なのでしょう。

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