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「カーシェア事業の成長」と駐車場市場

「カーシェア事業の成長」と駐車場市場

先日の日本経済新聞の記事によると、パーク24は2024年10月期連結決算で、純利益が過去最高の186億円(前期比6%増)を達成したとのことです。

その背景にはカーシェアリング事業の急成長があります。会員数はここ6年で3倍の300万人に達し、特に20代以下の若者層が増加。利便性向上や価格戦略が奏功し、駐車場事業とのシナジーも強化されています。今後は車両台数を「10万台」に拡充し、法人向けサービスも強化し、平日の稼働率向上を図る計画としています。

今回のコラムでは、上記ニュースを見て感じたことを掘り下げてみたいと思います。

1. 駐車場市場の変化

不動産市場において、これまで駐車場用地は「遊休資産」として評価されがちでした。しかし、パーク24のような企業が駐車場を「ステーション」化し、カーシェア事業と連携させることで、遊休資産の価値は再評価されることになります。例えば、従来と現在の評価を比較すると以下のようになります。

要素従来の評価現在の評価(シェアリング導入後)
立地の重要性極めて高(ステーション展開の要)
利用頻度不安定高稼働率(24時間利用が促進)
投資回収期間長期短期(シェアリング需要の高まり)

カーシェアステーションの導入は立地価値の最大化につながるため、これまで埋もれていた不動産の再活用が進んでいます。

2. 都市型不動産との親和性

都市部では、駐車場不足が顕在化する一方で、車を所有しない層の増加が進んでいます。カーシェア事業は以下の点で都市型不動産との相性が抜群です。

  • 【小規模スペースでも収益化】1台分のスペースでもステーションとして機能する。
  • 【高い回転率】1つの車両が複数のユーザーに利用されるため、利用効率が高い。
  • 【周辺施設への波及効果】カーシェア利用者が近隣の商業施設へアクセスしやすくなる。

これにより、都市型不動産オーナーは遊休地の収益最大化を図りやすくなっています。

3. 「所有から利用へ」のトレンドと不動産投資

若者の車離れは「所有から利用へ」という消費行動の変化を反映しており、不動産市場にも影響しています。

  • 【駐車場投資の魅力】従来の月極駐車場は固定収益が主体でしたが、シェアリング事業導入によりダイナミックプライシングや稼働率向上が可能。
  • 【利回りの向上】収益構造が多様化し、キャッシュフローが安定化。

不動産投資家にとっても、シェアリング事業を含んだ駐車場はリスク分散と収益向上が期待できる投資先と言えるでしょう。

おわりに

パーク24のカーシェア事業成長は、不動産鑑定の視点からも非常に興味深い動きです。「遊休資産」の価値を再発見し、効率的に活用することは、都市の持続可能な発展にも寄与します。

今後、不動産市場では「シェアリングエコノミー」視点が一層求められるでしょう。駐車場事業においても、収益の最大化と社会貢献の両立が新たな不動産価値を生み出す鍵となっています。

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