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独立してよかったか?

独立してよかったか?

不動産鑑定士として独立してから5年半が経ちました。独立することは多くの人にとって大きな一歩だと思いますが、リスクと不安が伴う一方で、報われる瞬間も多くあります。

今回は、私自身の経験から、独立してよかったと感じる点を3つ挙げてみたいと思います。

1. 財務の自由:役員報酬の自由な設定

法人を設立するという選択は、単にビジネスを正式に始めるという意味以上のものを持っています。それは、経済的な自立と時間的な自由への道への重要な一歩でもあります。

特に注目すべき点は、法人化すると「役員報酬の自由な設定が可能になること」です。これは、個人事業主やサラリーマンとは異なり、自らの収入とそれに伴う社会保険料や税金の負担をある程度自分で調節できるという点において、非常に大きなメリットをもたらします。これにより、より効果的な資金運用が可能になり、経済的な自由度を高めることができます。

また、法人化することで得られるもう一つの大きな利点は、事業に関連する費用を経費として計上できることです。これにより、税務上のメリットを最大限に享受することが可能になります。

サラリーマン時代には想像もつきませんでしたが、この「自分で自分の収入をコントロールできる」というメリットは、自身のビジネスを持つことの大きな魅力の一つです。たとえサラリーマンより収入が低かったとしても、自分の収入(及びそれに紐付く社会保険料・税金)を自分で管理し、豊かに暮らしている中小企業の社長は少なくありません。

2. 時間の自由:柔軟なスケジュール管理

独立することは、時間の管理に関して大きな自由をもたらします。多くの人が何よりも大切にしている「時間」。私は時間こそが命、タイムイズマネーではなく、タイムイズライフだと思っています。この時間的な自由は、特に家族を持つ人々にとって、計り知れない価値があります

例を挙げると、私の家庭では、子供が年に数回、さまざまな感染症にかかります。昨年を振り返ると、春にはインフルエンザ、夏には新型コロナウイルス、秋には溶連菌、そして冬に再びインフルエンザに罹り、年が明けて、今まさに本記事を書いている現時点でも、家族3人がインフルエンザで療養中です(予防接種はしてるのですが)。

そして子供が病気になると、その影響は家族全員に及びます。たいてい、ほぼ家族全員がこれらの病気に感染することになります。また、子供が学校や保育園に行けなくなると、共働きである我が家のスケジュールは大きく乱れます。通常、小学校や保育園を1週間の欠席を余儀なくされ、大人には時間差で感染するため、家族間のスケジュールが2週間程度狂うことも珍しくありません。旅行や運動会に行けなくなることもありました。このような事態が年に何度も何度も、「ああ、またか」といささかうんざりするほど発生し、特に毎日が綱渡りである、共働きで親も離れて暮らしている家庭にとっては、生活を維持する上で大きな問題となり得ます。

しかし、独立しているという状況は、このような時に大きな助けになります。仕事のスケジュールを柔軟に調整することが可能であるため、子供の看病や自身の体調を考慮しながらも、何とか仕事を続けることができます。もちろん、スケジュールの調整は容易ではありませんが、独立していることで、少なくとも仕事を完全には休まずに済むという点で、大きなメリットがあります。

このようにして、独立によって得られる時間の自由は、家族と過ごす貴重な時間を守り、大切にする上で、非常に重要な役割を果たします。家族と共にいられる時間は限られています。そのため、このような自由が、家族との絆を深め、一緒に過ごす時間の質を高める上で、非常に価値のあるものとなっています。

3. 実績が直接的な資産になる

独立して仕事をすることは、自らのキャリアと事業に対する完全なコントロールを意味します。この魅力の核心にあるのは、「自分自身の努力と成果が、直接的に自分の資産となる」という点です。

サラリーマンとして働く場合、個人の成果は企業の収益向上に寄与しますが、個人としての直接的な報酬や資産増加への影響は限定的なものとなるのが一般的です。しかし、独立している場合、自分の努力と成果はすべて自分自身のビジネスの実績に直結し、それが直接的に自分の経済的価値を高めることになります。

ただし、この過程には大きな責任が伴います。すべての成功も失敗も自分自身に帰属するため、高いレベルの自己管理と覚悟が要求されます。しかし、その責任を背負うことの代償として得られる、自分の努力が直接的に評価されるという経験は、非常に充実感があります。

自身の成果が形として目に見える実績として積み上がっていく過程は、サラリーマン時代には感じることのできない特別な喜びと達成感を提供してくれます。

個人的な観点から見ると、この実績が直接的な資産になるという点は、独立して仕事をする上で最も魅力的な側面の一つです。自分の時間、労力、そして情熱を注ぎ込んだ結果が、直接的な報酬として反映されることは、大きな達成感となり、自分を成長させるための強力なモチベーションにもなります。

独立して仕事をすることのリスクと責任は大きいですが、その分、得られる精神的・経済的な満足感もまた大きいと強く感じています。

結論

独立する道を選ぶことは、確かに不安やリスクを伴います。将来の収入の保証はありません。不確実性、事業の成功を左右する多くの要因、そして直面する様々なリスクは、決して軽視できるものではありません。

しかし、これらの不安やリスクを乗り越えた先には、計り知れない自由と無限の可能性が広がっています。ある程度の経済的自由(社会保険料、税法上の観点から)、自分自身の時間を自由に管理できること、そして何よりも自分の努力と成果が直接的に実績として評価される喜びは、独立を決意する大きな動機となります。

ここで強調したいのは、サラリーマン生活を否定しているわけでは決してありません。人にはそれぞれに合った道があり、生活のスタイルや価値観、目指す目標によって最適な選択は異なります。私も20年近くサラリーマンをやっていましたから、サラリーマンとしてのキャリアが人々に安定と成長の機会を提供することも、よく理解しています。

私自身の場合は、独立という選択が自分にとってのベストマッチであったというだけです。それは、私はそういう環境を求めていたから。たまたま、私はそういう人種だったからに他なりません。

なお、独立のみならず、新しいことに挑戦することは、新たなスキルを身につける機会を提供してくれます。そして、これらの経験は、家族との関係においても大きな価値をもたらします。自分の体験を通じて、(ささやかながらも)子どもたちにも目的を持って自立的に生きること示すことができます。

独立は、確かに一筋縄ではいかないかもしれません。しかし、私にとっては最善の選択でした。

人それぞれに合った道があります。皆さんが自分にとって最適な選択をされ、幸せな人生を送られることを願っています。

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