COLUMN コラム

日本の農林業の現状と将来性

日本の農林業の現状と将来性

(一財)日本不動産研究所は、2023年3月末時点の田畑価格・山林価格調査結果を公表しました。

【公表資料】田畑価格及び賃借料調、山林素地及び山元立木価格調(2023年3月末)の調査結果

主な内容は以下の通りです。

●田畑価格の動向

全国平均で、普通品等10a当たりの田の価格は約64万7213円、畑の価格は約40万8640円で、前年比で田は約1.6%、畑は約1.1%の低下を示しています。田畑の価格は、それぞれ1993年以降31年連続、1992年以降32年連続で下落しており、現在の価格水準は過去最高価格の約54.3%(田)と約59.9%(畑)です。

●田畑賃借料の動向

普通品等10a当たりの田の賃借料は平均8,342円、畑の賃借料は平均4,909円で、前年比で田は約1.1%、畑は約0.4%の低下を示しています。賃借料の水準は、過去最高価格の約34.7%(田)と約43.3%(畑)です。

●山林素地価格の動向

普通品等10a当たり用材林地の価格は平均4万960円、薪炭林地の価格は平均2万8595円で、前年比で用材林地は約0.3%低下し、薪炭林地は約0.1%上昇しました。価格水準は、過去最高価格の約45.8%(用材林地)と約49.8%(薪炭林地)です。

●山元立木価格の動向

利用材積1m3当たりの杉、桧、松の立木価格はそれぞれ平均4,361円、8,865円、2,672円で、前年比で杉は約12.7%、桧は約18.2%、松は約2.1%の低下を示しています。価格水準は、過去最高価格の約19.2%(杉)と約20.6%(桧)です。

同調査によると、日本の農林業は、長期的な価格下落という厳しい現実に直面しています。特に注目すべきは、田畑の価格が1990年代初頭の半分以下にまで低下している点です。これは、農業後継者の減少、高齢化、農業経営の不安定さなど、多くの社会的・経済的要因に起因していると考えられます。

山林価格に関しても、同様の傾向が見られます。用材林地と薪炭林地の価格は、1980年代の半分以下に低下しており、林業の将来に対する不安が高まっています。特に、木材価格の下落や林業後継者の減少は、深刻な課題です。

これらのデータは、日本の農林業が直面している課題を浮き彫りにしています。農業後継者の不足や高齢化は、農地の価格低下の主要な要因となっています。また、林業においても、持続可能な経営モデルの確立や新たな市場の開拓が必要とされています。

同調査は、日本の農林業が抱える問題を長期的なデータで明らかにしており、政策立案者や関係者にとって重要な情報源となっています。これらの課題に対処するための新しいアプローチやイノベーションが求められています。

CONTACT
お問い合わせ

相談のご予約や当社へのお問い合わせは、
以下よりお気軽にご連絡ください。