COLUMN コラム

少子高齢化と不動産の関係

少子高齢化と不動産の関係

4月12日に総務省が令和4年10月1日時点の人口推計を公表しました。これによると、日本の総人口は1億2,494万7千人で、前年に比べ55.6万人(-0.44%)減少し、12年連続の減少となりました。

このように日本では人口減少に歯止めがかからず、ご存じのとおり、世界的に持ても少子高齢化が非常に進んでいる国です。

子供の数が減少し、高齢者の数が増加し続けることによって、社会全体に影響を与える様々な問題が発生しています。中でも不動産にはどのような影響があるのでしょうか。

高齢化がもたらす影響

高齢化の進行によって、不動産には以下のような影響が現れることが考えられます。

住宅需要の変化

一般的に、人は健康状態や生活スタイルに合わせた住宅を求めます。例えば、高齢者であればバリアフリーの住宅や、介護施設への近さが求められるケースなどです。また、高齢者は子育て世帯に比べて居住に必要な面積も小さくてすむため、住宅需要の形態が変化することが予想されます。

具体的には、高齢者向け住宅や在宅介護支援に関する住宅、多世代・共同住宅、地域密着型の住宅、低価格・高性能住宅など、高齢者の選好度の高い住宅の需要が増加することにより、建築業や不動産業をはじめとする住宅関連産業においても、高齢化に応じた新たな需要が生まれると考えられます。

また、政府や地方自治体、建築業界などが連携して、高齢者の住まいに関する施策や規制の見直し・改善がより積極的に行われることも予想されます。

高齢化は社会全体に大きな影響を及ぼす課題ですが、住宅需要の変化により、より高齢者にとって快適で安心な住まい環境が整備されることが期待されると同時に、新たな住宅開発への取り組みや、住宅政策の見直しにより、高齢者の住まいに関するニーズに対応した社会を作っていくことが求められるでしょう。

土地利用の変化

高齢化に伴い土地利用にも変化が生じ、高齢者向けの住宅や施設に対する需要が増加すると予想されます。

高齢者の住環境や生活スタイルに合った土地利用が求められることで、高齢者の生活をサポートするための施設や住宅が増加する可能性があるほか、地域の特性やニーズを考慮した、地域密着型の住宅や施設の需要が増えると予想されます。

さらに、高齢者の社会参加や健康維持を促進するための土地利用の変化も考えられます。例えば、高齢者向けのレクリエーション施設やスポーツ施設、公園などの需要が増加する可能性があります。高齢者が健康的な生活を送るために、身体活動を行う場所や交流の場を提供する土地利用が重要とされるでしょう。

さらに、高齢者の交通インフラに対する需要も変化するかもしれません。高齢者向けの交通手段や交通インフラの整備が求められることで、高齢者の移動の利便性や安全性が向上することが期待されます。

このように高齢化社会においては、高齢者の生活環境を考慮した土地利用の変化が必要とされると同時に、高齢者の住みやすい環境を整備することで、高齢者の生活の質を向上させることが期待されます。

少子化がもたらす影響

次に少子化(出生率の低下や人口の減少)がもたらす不動産への影響について考えてみましょう。

住宅需要の変化

少子化によって、子育て世帯の数が減少し続けています。その結果、子育て世帯への住宅需要が低下する可能性が考えられます。

●住宅需要の縮小
少子化により子供の数が減少すると、家族向けの住宅需要が減少します。家族向けの大規模な住宅や多部屋の住宅への需要が減り、単身世帯向けの小規模な住宅やワンルームマンションなどの需要が増加する可能性があります。

●都市部への集中
少子化により人口の減少が予想される地方では、利便性を求めて都市部への人口の流出が進む可能性があります。都市部では単身世帯や高齢者向けの住宅需要が増加し、都市部の不動産市場が活性化する可能性がある一方で、地方では空き家が増加するなどの課題が進行する可能性が考えられます。

●定住ニーズの変化
少子化により若年層の減少が予想されると、若者の定住ニーズにも変化が生じる可能性があります。例えば、子供を持つ家族向けの住宅よりも、シェアハウスやシングル向けの住宅など、単身や非婚世帯向けの住宅への需要が増えるかもしれません。

ただし、少子化がもたらす住宅需要の変化は複雑であり、地域や集団によって異なります。よって市場の動向や社会的な変化を考慮しながら、不動産市場の需要の変化を予測する必要があります。

地価の下落

少子化がもたらす地価下落には、以下のような理由が考えられます。

●人口減少による需要の減少
少子化により人口が減少すると、住宅需要が減少する可能性があります。需要が減少すると、不動産市場における物件の供給過剰が生じ、結果として地価下落が起こる可能性があります。

●都市部への集中による地価の偏在
少子化により地方から都市部への人口流出が進むと、都市部の不動産市場が活性化する一方で、地方の不動産市場が低迷する可能性があります。人口減少や過疎化が進むと、需要が減少し、地価下落に繋がる可能性があります。

以上のように、少子化は不動産市場に様々な影響を及ぼす可能性があり、場合によっては地価下落に繋がる可能性も考えられます。

まとめ

日本の少子高齢化は今後も続くことは確実で、その影響は不動産市場にも及びます。

高齢者が増えることで、住宅の需要が変化し、高齢者向けの介護付き住宅や、バリアフリーな住宅などの新たな需要が生まれます。

また、若年層が減少することで、人口が減少する地域が増えていくことが予想されます。これにより、空き家が増加したり、地価下落に繋がるかもしれません。一方で、都市部や若年層の人気の高い地域では需要が競合し、不動産価格が上昇するかもしれません。

不動産市場においても、少子高齢化による需要の変化を把握した適切な提案や、資産の有効活用に対する解決策の提示などが課題になっており、変化に柔軟に対応していくことが求められています。

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