不動産鑑定士という職業を思い浮かべると、静かなオフィスでの分析作業をイメージされるかもしれません。
しかし、私たちは特定の物件や地域を深く理解するために、さまざまな場所を訪問しますし、現地の人との対話が欠かせません。今回は、外出する際の私(不動産鑑定士&宅建士)の一日を紹介して、この職の魅力や泥臭さをお伝えします。
●4:00 – 一日の始まり
毎日というわけではありませんが、遠出の調査日は、朝4時に起床します。朝起きると、まず家族の朝食の準備や、たまった家族の洗濯物を洗い、干します(家族が起きないように気を付けながら)。その後、朝食を済ませてから、前夜に整えた行程や必要な資料や道具を再度確認します。
●5:30 – 出発
立ちながら食べるという優雅さとは無縁の朝食を終え、5時半に出発。目的地までの移動も、大切な時間です。途中の風景や、変わりゆく町の様子を眺めることで、物件の位置づけや、地域の特性を感じ取ります。新たな開発がある場所では、途中で車を降りて写真撮影することもしばしば。また、初めは車で移動しますが、目的地近くで車を停車して、できるだけ徒歩での調査を心掛けます。歩きながら、地域の風土や人の流れ、車両通行量などの日常を感じ取ることを大切にしています。
●8:30 – 実地調査と取引事例の確認
到着したら、まずは物件の外観をチェック。その後、周辺環境を詳しく調査します。この時、カメラやノートは欠かせない相棒です。また、事前に調査しておいた周辺の取引事例や賃貸事例も一つ一つ確認していきます。
●11:00 – 市役所と法務局の訪問
物件の基礎情報や過去の取引履歴、権利関係などを確認するため、市役所と法務局を訪れます。
●12:30 – 昼食
地域の食堂やカフェで昼食。この時も、地域の雰囲気や特色を感じることができます。ランチのメニューや店の雰囲気からも、その地域の特色やトレンドを掴むヒントが得られます。
●13:00 – 地元精通者へのヒアリング
午後も引き続き外で調査を行います。物件の詳細や周辺環境だけでなく、地域の住民との会話も欠かせません。地域の長老や商店主、不動産業者など、地元に精通した人々とのヒアリングを行います。彼らの話からは、資料だけでは得られない貴重な情報や歴史が得られることがあります。
●14:00 – 再び物件の詳細調査
午後は再度、物件の詳細な調査や近隣の状況を確認。特にこれまでの資料収集やヒアアリングで得た注意点や疑問点を重点的に確認します。
●15:00 – 帰路へ
一日の調査を終え、帰路につきます。移動中も、その日の調査内容や気づきを振り返りながら車を運転します。
●19:00 – 家族との夕食
夕食の買い出し、子供達(保育園・学童)のお迎えを終えて家に戻り、夕飯の準備をして家族との夕食の時間。一気に騒がしくなりますが、一日の終わりに子供の笑顔を見ることは、最大の癒しです。
●22:00 – 就寝
子供との入浴や皿洗い、掃除等の家事を済ませ、子供たちに絵本の読み聞かせや宿題の付き添い、日課となっている筋トレをこなし、21時半~22時頃には子供と共に就寝。翌日に備えて、なるべく長い睡眠時間を確保します。
不動産鑑定士の一日は、数字やデータだけでなく、実際の地域や物件、そしてそこに暮らす人々との深い関わりが求められる職業です。この一日を通して、その奥深さを感じていただければ幸いです。
車での移動が多いことから運転時間が長くなり、さらに徒歩での調査も頻繁に行うため、体力的にも精神的にも大変な部分もありますが、その泥臭さがこの仕事の魅力とも言えます。