多くの人がそうであるように、時間ほど大切なものはない、と感じています。
年齢を重ねるごとに、その重要性が一層明確になっていきます。仕事、家族、友人、そして自分自身——どれも大切ですが、限られた時間の中で全てを完璧にこなすことは不可能です。そして、その限られた時間を守るために、「断ること」を覚えることは、忙しい現代人にとって本当に必要なスキルではないかと思います。
私自身、飲み会や食事の誘い、仕事の依頼、子供関連の付き合いなど、これまで無理をしてでも受けてきたことがたくさんありました。誘いを断るのは相手に悪いことだと思い込んでいましたし、性格上、相手をがっかりさせたくない気持ちが先に立ってしまいます。
ただ、そうしているうちに、特にサラリーマン時代は自分の時間がどんどん奪われていく感覚に陥りました。本来は自分のために使いたい時間が、いつの間にか他人の期待に応えるためだけに消費されてしまう。断らないとあっという間に自分の時間が埋まってしまい、本当にやりたいことに集中する時間を見失うことになります。
断ることは自分を大切にすること
断るという行為は、相手に対して失礼だと感じるかもしれませんが、実際には自分を大切にする行為です。たとえば、あまり気乗りしない飲み会や会食に参加することで、翌日疲れが溜まり、本来の仕事やプライベートの時間に影響が出ることがあります。子供の父兄からの誘いも嬉しいですが、自分の家族との時間を優先することも大切です。また、仕事においてもすべての依頼を引き受けると、結果的に質の低下や過労につながるリスクがあります。
例えば、飲み会の誘い。独身時代の私なら、疲れていても無理して行っていました。飲み会自体は好きですし情報収集もできるので、今でもなるべく参加していますが、疲れている場合は、「今日は疲れているから、また次の機会にお願いします。」と断ります。その結果、自分の気持ちに嘘をつかなくて済みますし、翌日はスッキリとした気持ちで新しい一日を迎えることができます。
また、子供の父兄からの遊びの誘いも同じです。以前は「子供のためにも付き合いを大事にしなきゃ」と思って参加していましたが、今では自分や家族との時間を優先する選択もできるようになりました。
断ることで、結果として自分の時間を確保し、自分の体調やメンタルのケア、家族や大切な人との時間に集中することができるようになります。そしてそれは、長い目で見て健康的でバランスの取れた生活に繋がっています。
どうやって断るか
では、どのようにして断るべきか?まず、断る際には、相手に対する配慮を持ちながら、自分の状況を正直に伝えることが大切だと思います。例えば、友人からの飲み会の誘いであれば、「最近少し体調を整えることに集中していて、今日はお断りさせて。」と丁寧に伝えます。また、仕事においては「他の案件が多数集中しているため、今回はお引き受けできません。」と明確な理由を示すことで、相手も納得しやすくなります。
ポイントは、断ることで相手に不快な思いをさせるのではなく、正直に伝えることです。誠実に対応すれば、相手も理解してくれます。
断ることで得られる自由
断ることを覚えると、自由が手に入ります。自分の時間を自分でコントロールできるようになると、他人の期待に振り回されることが少なくなり、心の余裕が生まれます。これは本当に大きな変化となります。特にサラリーマン時代は断ることに抵抗を感じていた私も、今では「自分のために断る」という選択を自然にできるようになりました。
もちろん、すべての誘いを断るわけではありません。大切な人との時間や本当に楽しみたいイベントには参加します。でも、自分が「これだけは譲れない」という時間をしっかり守るためには、断ることが必要不可欠だと今は思います。
終わりに
繰り返しますが、断ることは、決して相手を冷たく扱う行為ではありません。それはむしろ、自分を大切にし、そして相手との関係をより健全に保つための方法です。最初から正直に「今は無理です」と伝える方が、長い目で見てお互いにとって良い結果になることが多いと感じます。
断ることを覚えると、見返りとして、趣味や健康、家族との時間、そして自分自身と向き合う時間が確実に増えます。
時間は有限です。そして、その時間をどう使うかは、私たちの人生において最も重要な選択のひとつです。断る勇気を持つことで、自分の人生をもっと自由にデザインすることができるのではないかと思います。