(一財)日本不動産研究所が公表した「国際不動産価格賃料指数」の2024年4月調査によると、東京と大阪のマンション価格の上昇率がそれぞれ1.5%となり、世界主要15都市の中で首位となりました。
同研究所によると、これは調査開始以来初のことで、国際的な割安感と円安による海外資金の流入、株価の高値にある日本の富裕層の購入が進んだことが背景にあるとしています。
主観を交えて
「国際不動産価格賃料指数」にて、東京と大阪のマンション価格上昇率が世界主要都市の中で首位に立ちました。この現象を分析してみると、いくつかの興味深いポイントが浮かび上がります。
まず、この価格上昇の主な要因は、国際的な日本の不動産の割安感と円安です。現在の円安は、海外の投資家にとって日本の不動産をより手頃なものにしており、多くの外国資金が日本市場に流入しています。また、株価の高値にある日本の富裕層が、資産運用の一環として不動産に投資を進めていることも大きな要因です。
しかし、この急激な価格上昇にはリスクも伴います。市場が過熱すると、バブルのような状況が発生し、将来的には価格の調整が避けられない可能性もあります。よって我々不動産鑑定士は、現在の市場動向が持続可能か否かという予測も含めて分析し、適切な評価を行うことが求められます。例えば、地域ごとの需給バランスや将来的なインフラ整備の計画なども考慮し、長期的に安定した資産価値を見極めるなど。
東京と大阪という日本の二大都市が同時に価格上昇率で首位に立ったことは、国内外の投資家に対する強力なメッセージとなります。この状況を活かし、行政では都市としての魅力をさらに高める施策も考えられているでしょう。具体的には、住宅政策の見直しや都市開発の促進、外国人投資家に対するサポート体制の強化などが挙げられます。
マンション価格の高騰は一般市民の生活にも影響を及ぼします。住居費の高騰は生活コストの増加を招き、特に若年層や低所得者層にとって大きな負担となります。これを踏まえ、持続可能な都市開発と社会的なバランスを保つ政策の実施が求められます。
今回の日本不動産研究所の調査結果を通じて、不動産市場の現状と今後の課題が明らかになりました。これらの情報をもとに、公正で客観的な鑑定評価を提供することで、不動産市場の形成に貢献していきたいと考えています。