自動運転技術が発展することで、不動産にも様々な影響が生じることが予想されます。今回は、自動運転技術と不動産の未来について考えてみましょう。
まず、自動運転技術が普及することによって交通事故のリスクが減少するため、不動産の価値が上昇する可能性が考えられます。どういうことかと言うと、交通事故が減少することで周辺環境の安全性が向上し、住宅需要が高まるためです。また、物件の駐車場やガレージの需要も変化するかもしれません。なぜなら、自動運転車は今のところ小型車が多く想定され、駐車場の容量を削減できるため駐車場の需要が低下するからです。
また、自動運転車が普及することで通勤時間や運転時間が不要となるため、不動産の需要が変化するかもしれませんね。具体的には、遠隔地への通勤が容易になり、また社内で仕事もできるようになるため、郊外の住宅地の需要が高まるのではないでしょうか。
一方で、移動中に寝泊まりができる車中泊の需要が高まることや、車が自律的に移動するため、車内での作業や趣味を楽しむことができるようになるため、不動産の需要は伸びずに、動産として車内で作業や趣味を楽しめるような自動運転車の方が需要を呼ぶかもしれません(不動産ではなく動産ですね)。
このように、自動運転技術が普及することで、不動産の需要や物件の利用方法に変化が生じる可能性があります。仮にこれらの予想が実現すれば、不動産業界は変化に対応するために、新しい取り組みを行うことが求められます。
例えば、車両充電ステーションが整備された物件などが需要を呼ぶのであれば、不動産開発業者は充電設備に配備された物件やコミュニティを提供することが求められます。
また、自動運転車の普及に伴い、物件のロケーションによる価値基準も変化する可能性があります。例えば、従来の鑑定評価では公共交通機関のアクセスが重視されましたが、より便利な自動運転車が普及することで、公共交通機関の需要が減少することも考えられるため、これらの評価基準が変化するかもしれません。
これについては、近年観測された新型コロナウイルス感染症の影響が参考になります。ウイズコロナを前提とした経済活動の影響から、コロナ禍における在宅時間の増加により住宅地の需要が高まったことに加え、テレワークの浸透に伴う勤務形態の変化などにより、通勤利便性を重視する購入要件から駅から離れ多少不便でも、より広い建物や敷地が好まれるなどの選好思考に変化したように。
さらに、自動運転車が普及することで、不動産取引周りの仕事でも変化が生じる可能性もあります。例えば、物件の現地調査や物件へのアクセスが容易になるため、不動産仲介業者の仕事が効率化され、営業担当者の人員削減に繋がるかもしれません。
以上のように、自動運転技術が不動産業界にもたらす影響は多岐に渡ることが予想されます。不動産業界でも自動運転技術に対応するために、”多かれ少なかれ”、新しい取り組みが求められるのは間違いありません。
今後、ますます自動運転技術が普及する中で、不動産業界がどのように変化していくのか注目していきたいと思います。