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不動産鑑定の実査でつらかった経験【part1】

不動産鑑定の実査でつらかった経験【part1】

不動産鑑定士の業務の一つに、実地調査(以下、実査)があります。

実査とは「実際に現地に訪れ、対象不動産を確認すること」で、不動産鑑定士であれば、どんな不動産であっても必ず行う作業です。

今回は、私がこれまで行ってきた実査のうち、死にそうになった・・・と言うと少し大げさですが、かなりつらかった経験3つを発表します。

雑談のようなお話ですが、もしご興味がありましたら、お付き合いください。

【第3位】真冬の大規模倉庫のはしご

これは私がサラリーマン鑑定士だった頃、証券化対象不動産である大規模な物流倉庫を実査した時の出来事です。

季節は真冬で、雪がちらつく程に寒い日でした。依頼者も同行する実査であったため、パリッとしたスーツと革靴を履いて実査に挑みました。

新規に鑑定評価する物件だったため、入念に一つ一つ調査していきます。順調に実査を行っていき、最後に屋根の調査を残すのみとなりました。最新の物流倉庫では、屋根を利用してテナント負担の太陽光パネルを設置することもよくあることから、そのパネルの確認のためです。

屋根を目視するためには、4階建の倉庫の4階部分の壁面に固定されたハシゴを上らないといけませんでした。大抵、物流倉庫を実査するときは、依頼者様側でヘルメットを準備してくださるのですが、靴は自前の革靴です。雪でハシゴは濡れているため、革靴では滑ります。また、手袋を持っていなかったので、手もかじかんでいました。

依頼者様から「大丈夫ですか?」との優しい言葉に、「大丈夫です!慣れてますから」と心にもないセリフを返しつつ、地上30~40mの位置に建物の外に備え付けられた勾配角度90%のハシゴを、革靴で10m程登りました。

”いろんな意味で”震えながらも無事に登り切ることができ(最後にハシゴを跨ぐときが一番怖かったです)、帰りも無事でしたが、「雨や雪の日は、必ず作業靴を持参しよう」と心に決めた出来事でした。

同じように、マンションの屋上を確認する際、建物の壁に固定されたハシゴを上ることもありますが、下に足場がない状態など「なぜここに・・・!?」と思うような位置に備え付けられたハシゴもあります。鑑定士にとっては”あるある”かもしれませんね。

【第2位】真夏の鉄道敷の実査

こちらは、私が新人鑑定士だった頃の話です。

ある路線の鉄道敷(電車が通行する部分のこと)の鑑定評価のため、真夏のカンカン照りの一番暑い時間帯に、鉄道敷に沿って一人で数キロ歩いた事がありました。

鉄道沿いには基本的に日陰もありませんし、自動販売機もありません。今でこそ、夏場の実査では直射日光が非常に危険なため、帽子や日傘、大量の水などを持参するのですが、当時は新人鑑定士でそこまで気が回りませんでした。持っていたのは500mlのペットボトル1本。そのペットボトルも、すぐに飲み干してしまいました。

「あ、これは危ないな・・・」と思いましたが、既に半分くらい来ているため、途中で引き返すこともできません。

座り込みながら休憩をはさみ、なんとか最後まで鉄道敷を確認することができましたが、最後の方はフラフラになりました。おそらく、熱中症のような状態だったと思います。

翌日は会社を休みました。

【第1位】大雨の中の林地の実査

地価公示で林地を担当していた時の話です。

林地の取引事例を確認する必要があったのですが、よりによって雨の日に一人で山に登ってしまいました。

その林地の取引事例は車では到達できない場所にあったため、途中のコインパーキングに車を駐め、2キロほど歩いて現地に向かいました。途中からは道なき道です。

途中で、既にかなりの体力を消耗していましたし、雨もだんだん激しくなってきます。大雨の中、視界の悪い雑木林の中で、自分の背丈ほどある草をかき分け、コンパスを見ながら対象事例を探しました。

もう傘など差していられる状態ではありませんでした。

「これは気を抜くと遭難する・・・」という心理状態の中、さらに運の悪いことに、その日はたまたま体調が悪く風邪気味で、途中でお腹も痛くなってきました。

自分の頬を伝う水滴が、「雨なのか、涙なのか」分からない状態で山の中を彷徨った出来事を、私は一生忘れることができません。

終わりに

いかがだったでしょうか。

くれぐれも、私個人の準備不足や体調管理などによるものですので、同じようなケースの実査にすべて当てはまるわけではありませんこと、ご留意いただければ幸いです。

基本的に不動産鑑定士の仕事は安全で、現場の準備も徹底しています。誤解無きようお願いします。

このようなピンチもありましたが、今となっては良い思い出(?)ですし、こうしてブログのネタにもなっているので、元は取れたのかな、と思います。

今回は以上です。くだらない話にお付き合いくださり、ありがとうございました。

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