国土交通省より令和6年都道府県地価調査が公表されました。本調査では、全国47都道府県で約21,436地点の地価を調査し、不動産鑑定士の鑑定に基づいて価格を決定しています。
全国の平均変動率は住宅地で0.9%、商業地で2.4%、工業地で3.4%の上昇を示しています。特に三大都市圏(東京、大阪、名古屋)では商業地や工業地の価格上昇が顕著で、東京圏では商業地が7.0%の上昇を記録しています。地方圏でも住宅地や工業地の価格は緩やかに上昇しています。
令和6年地価調査から読み解く不動産市場の動向
令和6年地価調査では、不動産市場が多面的な成長を続けていることを示しています。不動産鑑定では多くの要因を慎重に考慮する必要がありますが、今回の調査では全国的に安定した価格上昇が見られることから、特に商業地や工業地の需要が高まっていることが分かります。
三大都市圏の傾向
東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、特に商業地と工業地が顕著な価格上昇を記録しています。例えば、東京圏では商業地の価格が前年から7.0%上昇し、商業活動の活発化が確認されています。これは、再開発プロジェクトや企業のオフィス需要が主な要因です。
一方で、住宅地の上昇は穏やかであり、住民のニーズの変化や住宅供給の状況が影響していると言えます。例えば、近年はテレワークの普及によって都市部から郊外や地方へ引っ越す人が増えたり、広い住居や自然環境の整った住宅地域を求める傾向が見られます。また、新築マンションや戸建住宅の供給が増加したことも、住宅地価格の急激な上昇を抑える要因となっているでしょう。これらの要因も影響し、住宅地の価格は安定して緩やかな上昇に留まっていると考えられます。
都市圏 | 住宅地変動率 | 商業地変動率 | 工業地変動率 |
---|---|---|---|
東京圏 | +3.6% | +7.0% | +6.6% |
大阪圏 | +1.7% | +6.0% | +6.3% |
名古屋圏 | +2.5% | +3.8% | +3.5% |
地方圏の回復
地方圏でも住宅地の価格が安定しており、特に工業地が2.4%の上昇を記録しています。これは地方経済の回復や、製造業や物流業界の拡大による影響と考えられます。地方での地価上昇は地域経済にとって好材料であり、これからの成長の鍵を握っている分野です。
地方圏でも価格が上昇しており、特に工業地の需要が堅調であることは、地域経済の成長の兆しといえるでしょう。これからも地方の活性化が進むことに期待しています。
不動産鑑定士の役割
都道府県地価調査では、不動産鑑定士が価格評価において大きな役割を果たしています。不動産鑑定士は地価だけでなく、その地域の市場状況や将来の需要動向をも考慮してより正確な価格を査定します。
今後は金利や不動産価格の高騰、インバウンド等の影響などの要因が複雑に絡まり合い、特に不動産市場が大きく変化していく時期と考えられるため、鑑定士としての洞察力がますます重要になっています。