COLUMN コラム

令和4年地価公示 千葉県編

令和4年地価公示 千葉県編

国土交通省より令和4年地価公示が公表されました。

地価公示とは、国土交通省(土地鑑定委員会)が適正な地価の形成を図るために、毎年1月1日時点の全国の標準地(※)の正常な価格を毎年3月下旬に公示するものです。

(※)地価公示の調査地点を「標準地」といい、各標準地の鑑定評価は全国の不動産鑑定士が行っています。

地価公示は1969年に誕生してから今日に至るまで、50年以上調査が続いている日本を代表する不動産価格の指標です。

2019年から不動産鑑定評価書の全ページが一般公開されるようになり、国土交通省が運用する「標準地・基準地検索システム」では、地価公示と併せて都道府県地価調査も確認することができます。

(参考) 国土交通省 標準地・基準地検索システム

地価公示の価格時点は1月1日であり(不動産鑑定士による調査は前年8月頃から開始します)、公表されるのが3月下旬であることから速報性という意味ではやや劣るものの、対象範囲が日本全国とカバーする範囲が広いこと、不動産鑑定士が実際に調査した価格に基づくものであることなどの優位性を持っています。

今回の記事では、令和4年地価公示のうち、当社代表中田も鑑定評価員として参画させていただきました千葉県のトピックスをまとめています。

千葉県内における住宅地・商業地の平均変動率

まず、千葉県内における住宅地・商業地の平均変動率はこちらです。

住宅地(令和3年)住宅地(令和4年)商業地(令和3年)商業地(令和4年)
千葉県0.10.80.61.5
千葉市0.41.01.41.7
その他0.10.70.41.4
千葉県用途別対前年平均変動率(変動率:%)

(参考) 地域別対前年平均変動率(東京圏)

令和3年は住宅地、商業地ともに新型コロナウイルス感染症拡大の影響により地価上昇率が圧縮されたものの、令和4年は住宅地、商業地ともに地価上昇率が強まる結果になりました。

住宅地、商業地ともにプラスの上昇率ですが、特に商業地の上昇率が強まっています。

千葉県上昇率ランキング(住宅地・商業地)

続いて、千葉県内における上昇率上位の市区を住宅地、商業地に分けてピックアップしていきます。

住宅地

まずは住宅地です。下表は国土交通省が発表した「令和4年地価公示 市区の対前年平均変動率(東京圏)」を基に弊所で作成したものです。

順位市町村上昇率(%)
1浦安市3.3
2市川市2.3
3千葉市美浜区1.9
4千葉市中央区
君津市
袖ケ浦市
1.6
5千葉市緑区
木更津市
1.5
千葉県対前年平均変動率ランキング(住宅地)

(参考) 市区の対前年平均変動率(東京圏)



住宅地上昇率の第1位は浦安市で+3.3%、続いて市川市、千葉市美浜区と東京都内への通勤が便利な住宅地が続きます。いずれも東日本大震災では液状化による大きな被害を受けた湾岸部を含む市区であり、地価も一時停滞していた時期もありましたが、現時点で地価は回復傾向にあることがうかがえます。

第4位にランクインした千葉市中央区ではJR千葉駅前で再開発が進捗しており、今後も地価上昇が期待されます。また、同じく第4位の君津市、袖ケ浦市では東京湾アクアラインの割引効果により、県内及び対岸の神奈川、東京からの転入者も多く認められ、地価上昇が続いています。

第5位には事業初期の分譲開始から約30年が経過し、旧街区の世代交代が進みつつある千葉市緑区、アクアライン効果のほかアウトレットなど大規模商業施設の開発で生活利便性が向上している木更津市がランクインしています。

商業地

続いて商業地です。下表は住宅地と同じく「令和4年地価公示 市区の対前年平均変動率(東京圏)」を基に作成しました。

順位市町村上昇率(%)
1船橋市3.1
2千葉市緑区2.9
3市川市2.6
4袖ケ浦市2.4
5千葉市中央区2.1
千葉県対前年平均変動率ランキング(商業地)

(参考) 市区の対前年平均変動率(東京圏)



商業地は県内で最も繁華性の高いJR船橋駅前をようする船橋市が上昇率+3.1%で第1位となっています。JR船橋駅周辺では複数の再開発が進捗しているほか、オフィス拠点としての需要も県内随一ですから、当面は地価上昇が続くでしょう。

第2位には千葉市緑区がランクインしました。千葉市緑区の商業地はJR外房線「鎌取」駅前が中心ですが(当社の最寄り駅でもあります)、同駅周辺では大規模商業施設のほか、区役所、図書館、消防署、郵便局など公共公益施設が立地し、生活利便性や住環境も優れることから、商業地としても底堅い需要がみられます。

第3位はJR市川・本八幡駅付近で商業施設が充実している市川市、第4位は令和元年に換地処分された袖ケ浦駅前地域を含む袖ケ浦市、同じく駅前再開発が続く千葉市中央区が第5位となっています。

東京圏上昇率ランキング(工業地)

東京圏に範囲を広げ、特徴的な地価上昇率を示したのが工場地です。下表は、”東京圏”の工業地の上昇率上位地点を抽出したものです。

順位標準地番号都道府県所在地R4公示価格(円/㎡)上昇率(%)
1市川9-1千葉県市川市塩浜3丁目17番12175,00020.0
2市川9-4千葉県市川市二俣717番73159,00019.5
3市川9-2千葉県市川市二俣新町17番9外139,00019.4
4船橋9-2千葉県船橋市日の出2丁目11番88,00019.3
5市川9-3千葉県市川市高浜町3番3115,00019.1
工業地の変動率上位順位表(東京圏)

(参考) 工業地の変動率上位順位表(東京圏)



東京圏では千葉県が1位から5位までの全てを独占しています。市川市、船橋市の臨海部が中心で、上昇率も19~20%と非常に高くなっています。

なお、千葉県のみの工業地でみれば、平均変動率が令和3年の+2.9%が令和4年には+5.3%にまで上昇しています。

まとめ

総じて新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和されつつあり、住宅地、商業地ともに千葉県では昨年からは回復傾向が見られます。

特にインターネット通販の拡大に伴う大型物流施設用地の需要が強く、更には巣ごもり需要が追い風となった工場地は著しい上昇率をみせています。

全国平均でみても全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じているほか、工業地は6年連続の上昇であり、千葉県と概ね同様の傾向がみられます。

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