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不動産の利回りって何だろう?

不動産の利回りって何だろう?

「不動産の利回り?良く分からないな・・・」

という方は多いです。J-REITや現物不動産に投資されてる方であっても、不動産の利回りが苦手という方は、かなりいらっしゃいます。

「とりあえず、利回りは高ければいい物件なんでしょう?」っと思ってる方が、肌感覚では半分上かなと・・・

利回りは、不動産に投資する際の重要は判断要素になりますが、分かったようで、実はよく分からないのが利回り。

利回りが得意になれば、「不動産の適正な価格や売り時・買い時」が分かります。また、利回りの考え方は普遍的なので、不動産だけでなく、他の金融商品でも応用できます。

この記事では利回りについて、分かりやすく解説してみたいと思います。

利回りとリスクの関係

「利回りはリスクと比例する」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。

「リスクが高いと収益が減少するから利回りも低くなる」と勘違いされるかもしれませんが、資産の持つリスクに収益の増加や減少は関係ありません。

<誤った考え方>
リスクがある。 → 収益が減少する。 → 利回りが低くなる。

資産の持つリスクとは、「その資産が生み出す将来の予測不可能な収入の変動」です。専門用語では「ボラティリティ」と言います。ちょっと難しいですね。

将来、収益が予測に反して上昇することもリスクですし、予測に反して下落することもリスクです。つまり、その資産の上昇・下落を現時点で予測できないこと(収益の非安定性)がリスクと考えます。当初から分かっていたリスクには対策が打てるので、リスクではありません。
 
そして、リスクは利回りと比例関係にあります。基本的に利回りが高ければ、将来予測しなかった事態が発生する可能性(=リスク)も高くなります。

もし、営業マンに「リスクは低いけど利回りが高い物件(金融商品)です!」と言われたら要注意。そんな物件(金融商品)はこの世に存在しません。なぜなら、もしそのような物件(金融商品)が存在したら、これを買う人は必ず得をするので需要が競合し、価格が高騰します。その結果、利回りは下がるからです。

不動産の利回りって何だろう?

不動産鑑定評価では、利回りは「還元利回り(キャップレート)」を指すことが多いです。

還元利回りは、不動産の収益価格を求めるときに使いますが、難しい用語は使わずに、本記事では単に「利回り」と言うことにします。

では、次章から利回りについて、さらに深掘りしていきます。

利回りは元本価値に対する収益率

利回りを別の言い方で表すと、「元本価値に対する収益率」です。これを式で表すと、

①利回り=収益÷元本価値

となります。もう少し踏み込むと、元本とは現在の元本価値ですが、収益とは現在の収益ではなく、その資産から得られると予想される収益(将来予測も考慮した収益)です。

上記とふまえて、①に将来予測を追記したのが、下記②です。

②将来予測も考慮された利回り=資産から得られると予想される収益÷現在の元本価値

つまり、利回りは現在(元本)と将来(収益)から求めていることになります。実は、利回りには将来予測も考慮する必要があったのです。おもしろいですよね。

例えば、インターネット上の投資物件検索サイトでよくある利回りは、現時点の利回りです。将来予測を考慮していないため、注意が必要です。利回りは、「今の賃料はいくらで購入金額がいくらだから利回りはいくらね」といった単純なものではありません。

利回りは一つではない

利回りは、将来予測も考慮しなければならないとご説明しました。

金融工学のアプローチでは「将来起こりうるリスクに備えて現時点でも様々シナリオを想定して利回りを判断しましょう」とも言われています。

つまり、その中で一番現実味のあるシナリオに基づく利回りを標準として、それ以外のシナリオも確率統計で判断して、ようやく適正な利回り(≒適正な資産価格)が決まります。不動産鑑定上の利回りでは、さらに予測不可能なリスクも考慮することもあります。

同じ資産でも利回りは一定ではありません。鑑定する不動産鑑定士や投資家が「どこまで先を見ているか」によって利回りは変わります。

つまり、利回りは一つではないのです。

利回りは上がってる?下がってる?

現在の不動産市場の利回りは、平成バブル期(好景気に不動産価格が極めて上昇した時代)の水準と同じくらいまで下がっています

もちろん、物件の立地やアセット、機関投資家向けか個人投資家向けかにもよりますので、大枠で見た話です。コロナによる影響もあるものの、特に東京都心部の優良不動産は世界的に需要があり、低い利回りで取引されています。

「利回り=収益÷元本」ですから、分母である元本価値が高くなり、利回りが低くなる、というロジックです。

一般的に、都心の物件が高騰すれば、投資家は地方の物件を探すことになります。地方部では出口で売却できるかどうか分からないリスクがあるので、都心と比べて利回りは高くなります。ただ昨今では、都心の物件不足が需要が地方にも波及し、地方でも利回りは低くなってきました。

このような時代は、不動産初心者には購入の参入障壁が高いかもしれません。

利回り推移を把握する資料として、下記に一般財団法人日本不動産研究所が発行している「不動産投資家調査」のリンクを付けておきます。ご参考になさってください。

一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」

粗利回りと純利回り

一口に利回りといっても、たくさんの種類があるのをご存じでしょうか。

よく聞かれるのが、ディベロッパーが使う「粗利回り」です。それ以外にも「純利回り」「期待利回り」「取引利回り」などがあります。「割引率」も利回りの一種です。

不動産業者やインターネット上の物件検索サイトでは、「利回り〇%」とありますが、これらは粗利回りです。彼らはエンドユーザーにできるだけ利回りを高く見せたいため、粗利回り(表面的な利回り)を使っています。

次章では、利回りの中で代表的な粗利回りと純利回りについて解説していきます。

粗利回りとは

粗利回りとは、単純に「現在の賃料収入を購入価格で割った利回り」です。

粗利回り=現在の賃料収入÷購入価格

表面利回り、グロス利回りともいい、不動産業界では「粗利」と略して使うことが多いです。ざっくりとした利回りを把握するときに使います。

一般的に、粗利回りは純利回りよりも高くなりますが、その理由は後述します。

純利回りとは

純利回りとは「その物件の取得にかかったすべての費用を考慮した利回り」です。おおむね「貸主の実入りに対する利回り」と考えると分かりやすいですね。

正確には、純利回りはすべての収益(※1)からすべての費用(※2)を控除した後、敷金などの運用益と資本的支出(物件価値を高める支出のこと)を加算して、すべての投資額(※3)で割った利回りです。

(※1)現在の賃料・共益費・駐車場代・その他収入など
(※2)維持管理費・修繕費・募集費用・固定資産税・都市計画税・火災保険・地震保険など
(※3)物件価格・仲介手数料・所有権移転登記費用・不動産取得税など

実質利回り、ネット利回りともいいます。

例えば、賃料収入が多くても、必要諸経費が高ければ実入りは少なくなります。すべての必要諸経費を考慮するため、実入りが減り、純利回りは粗利回りより低くなります。

粗利回りが高くても、純利回りが低ければ注意が必要です。金融商品の場合は信託報酬(手数料)まで考慮しましょう。投資では、投下した元本を回収しなければならないため、収益のみならず、投入した経費も考慮すべきであり、単純な粗利回りではなく、純利回りで考えることが必要です。

その他の利回り

その他の利回りについて、簡単にご説明します。

①期待利回り
投資家が投下する資本に対して、どれだけのリターンが期待しているかを示します。投資家が”取引の前に”期待している利回りです。

②取引利回り
実際に市場で取引された元本と収益の割合を示します。不動産には個別性がありますが、その地域の取引の指標にはなり得ます。

③割引率
別名、「投下資本収益率」とも言います。初期投資した元本が、投資期間内に回収できる(期待できる)収益率のことです。
なお、割引率は一般的な投資家が物件を保有するであろう期間に対応した利回りのため、将来の収益の変動予測と予測に伴う不確実性を考慮していません。

利回りはどうやって査定するの?

では、利回りはどのように査定するのでしょうか。

不動産鑑定評価上の目線から、利回りの査定方法について解説していきます。

マーケットの利回り

地域によって利回りには差異があります。

このため、その地域内で実際に取引されている利回り(取引利回り)を知ることで、その地域のおおむね標準的な利回りを把握できます。

不動産鑑定の現場でも、対象不動産との個別性を考慮しつつ、この取引利回りを比較対象として参考にしています。

リスクを積み上げる利回り

リスクと利回りは比例関係にあるとお話しました。そこで、個別の物件ごとにそのリスクを積み上げることで利回りを査定します。

考慮されるリスクには、次に様なものがあります。取引利回りなどで把握した地域の標準的な利回りに対して、これら①~③のリスクを加算することで、利回りを算出します。 

<考慮される主なリスク>
①物件固有の立地条件駅距離、液状化などの災害履歴など。駅距離が遠いほど需要が減るので売却リスクが高まるし、液状化地域では需要が減る。これらのリスクを利回りに加算する。
②建物の築年数築年が経過している物件ほど、思わぬ修繕費がかかる可能性が高くなるため、リスクとして利回りに加算する。
③現行の賃料水準賃料水準が相場より高ければ、賃料下落リスクとして利回りに加算する。


不動産鑑定上はこのようにして不動産の利回りを査定しています。

※利回りの査定方法は、上記の他にも複数の方法があります。また、上記で説明した将来予測なども利回りで考慮してますが、本記事では単純化して解説しています。

まとめ

まとめ
以上、不動産鑑定士の目線から利回りについて書いてきました。

利回りは、特に投資用不動産(証券化対象不動産)の評価では重要です。

最後にまとめておきます。

●収益の上昇・下落を現時点で予測できないことがリスク
●基本的に、リスクと利回りは正比例する
●「どこまで将来を考えるか」によって利回りは変わる
●投資では、粗利ではなく純利で考える癖をつける
 
少しでも参考になれば幸いです。

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