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大手?個人?どの不動産鑑定士に依頼する?

大手?個人?どの不動産鑑定士に依頼する?

あなたが鑑定を依頼するとき、大手業者に依頼しますか?それとも個人業者に依頼しますか?

鑑定業界は「一部の大手業者」と、「その他の多くの個人業者」が混在していますので、判断が分かれるところです。

今回の記事では、大手業者と個人業者の両方を経験した私中田が、各々の業者の特徴をまとめてみたいと思います。

さっそくですが、不動産鑑定士に仕事を依頼するパターンとしては、以下3つのパターンがあります。

  • 大手鑑定業者に依頼する
  • 中堅鑑定業者に依頼する
  • 個人鑑定業者に依頼する

各々、一長一短がありますので、それぞれ深掘りしていきます。少しでも業者選びの参考になれば幸いです。

大手鑑定業者に依頼する

大手鑑定業者に依頼する
株式会社エル・シー・アール国土利用研究所の「2019年不動産鑑定業者 事業実績(鑑定業者売上ランキング)」を引用させていただきます。

2019年不動産鑑定業者 事業実績(鑑定業者売上ランキング)



「売上」、「不動産鑑定士の人数」ともに、圧倒的に規模が大きいのが日本不動産研究所です。
その次は大和不動産鑑定、谷澤総合鑑定所がつづきます。鑑定業界で大手といえば、この3つを指すことが多いです。

業者名売上不動産鑑定士の人数
日本不動産研究所約81億円265人
大和不動産鑑定約40億円116人
谷澤総合鑑定所約26億円73人

(引用)株式会社エル・シー・アール国土利用研究所「2019年不動産鑑定業者 事業実績(鑑定業者売上ランキング)」

私は駆け出しの不動産鑑定士の頃から10年間、日本不動産研究所にお世話になりましたが、大手は組織ならではの安定感と信用度があります。

例えば、担当する不動産鑑定士が突然の病気になったとしても、すぐに代わりの不動産鑑定士がアサインされます。また、複数の不動産鑑定士によるチェック、事務職による誤字脱字などのチェック体制もありますし、特定の分野のスペシャリストも揃ってます。

一方、複数の審査体制が充実しているということは、裏を返せば鑑定評価書の発行までに時間がかかり、人件費が嵩む分、鑑定費用もやや高くなるケースもあります。

全国各地のたくさんの不動産を一気に鑑定してほしいケースなどは、複数の不動産鑑定士をアサインできる大手が強いです。

中堅鑑定業者に依頼する

中堅鑑定業者に依頼する
鑑定業界では、不動産鑑定士が20人いる業者が、数えるほどしかありません。上記LCR国土利用研究所の調査を見ると、不動産鑑定士の人数が20人以上いる業者は、全国に9つしかありません。

したがって本来ならば、鑑定士が20人いれば大手と言われますが、ここでは区別して中堅鑑定業者と定義します。

業者名売上不動産鑑定士の人数
シービーアールイー約13億円20人
三友システムアプレイザル約11億円25人
JLL森井総合鑑定約9億円33人

(引用)株式会社エル・シー・アール国土利用研究所「2019年不動産鑑定業者 事業実績(鑑定業者売上ランキング)」

私は中堅鑑定業者に所属したことがありませんので想像でしかありませんが、中堅は大手に負けじと受注する必要があります。生存戦略として、ある程度は安価でも受注する、という状況にあるのは想像に易いです。

また、差別化のため、証券化対象不動産(JLL森井総合鑑定)や、金融関係(三友システムアプレイザル)、マーケティング調査(シービーアールイー)などの特定の分野に強いことも特徴の一つです。

大手と同じく、中堅業者も主に大都市(東京都、大阪府、神奈川県、愛知県)及びその近郊に支社がある傾向にあります。

個人鑑定業者に依頼する

個人鑑定業者に依頼する
企業に属さず、独立開業されてる個人鑑定業者のケースです。
鑑定業界は組織自体が少ないため、ほとんどの不動産鑑定士が1人(多くて2~3人)で仕事をしています。

組織力のある大手のように、複数の不動産鑑定士の目が入らないため、鑑定の質については、個人事務所は振れ幅が大きいです。担当鑑定士が倒れたら、代わりがいません。鑑定費用は独自に決めているため、ピンキリです。

ただ、個人の鑑定士は地縁のある地域で開業されることが多いため、その地域の不動産については経験値が最も高いケースが多いです。特に、大手の参入の少ない地方部ではその傾向が強くなります。

個人事務所は地価公示などの公的評価が重要な仕事になります。地価公示は地方であっても必要ですから、地方部で開業する鑑定士が多いのはそのためです。需要と供給のバランスがきちんと成り立ってますね。

また、若いうちは大手で経験を積んで、敢えて独立して活躍の場を広げ、多くの仕事を受注しようとする不動産鑑定士もおられるので、優秀な不動産鑑定士が見つかる場合もあります。

さらに、個人だと融通が利くケースが多いので、フットワークが軽く、きめ細かなサポートが受けられる、というメリットがあります。

まとめ

まとめ
いかがだったでしょうか。鑑定業者を「大手」「中堅」「個人」に分けて解説してきました。
あくまで個人的な見解だということは、ご留意いただけますと幸いです。

どこが良い、悪いと言ってるわけではありませんので、対象地域、費用、納期、安心感、柔軟性などをトータルで考えて、ご自身に合った業者を選んでいただければと思います。

どの業者であっても、結局のところ、メインで担当するのは"一人の不動産鑑定士"です。

個人的には、あなたの大切なお金を使い、大切な時間を共にするわけですから、”あなたと相性の合う鑑定士”を選んでいただければ、後悔は少ないのかなと思います。

あなたにとって、素敵な鑑定士との出会いがあることを願ってます。

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