不動産鑑定士が実地調査(以下、実査)に行くとき、意外と服装に気を遣っているのをご存じでしょうか。
「そんなの別に興味ないよ!」という方がほとんどだと思いますので、あらかじめお伝えしておきますが、今回の記事は不動産産鑑定士を目指している方や、新人の鑑定士など以外は、あまり役に立たない内容です。それ以外の方は、温かい目で見守っていただければ幸いです。
さて。不動産鑑定の現場では、鑑定の依頼者と対象不動産の所有者が別であるケースもあります。また、そもそもお住まいの物件が調査対象となっていることをご存じないケースもあります。
不動産鑑定士の実査では、写真を撮ったり、周辺を歩き回って現況を把握しますので、上記のようなケースでは、なるべく実査で住民の方に不審がられないような服装や振る舞いをする必要があります。
付け加えると、「住民に不審者として通報された」という話は、不動産鑑定士の間では”あるある”です。
かく言う私も過去に2回、スーツを着て実査をしていた際、住民の方に注意(尋問)を受けたことがあります。1回目は社用車を止める場所で。2回目は対象不動産の外観を眺めていて。2回とも、お相手はご隠居されているであろうお爺様でした(通報まではされませんでした)。
こういう苦い経験もあり、それ以降、実査時の服装にも気をつけるようになりました。今回の記事では、不動産鑑定士の実査の服装として、私が心がけていることについて書いています。もしご興味がございましたら、お付き合いください。
不動産鑑定士の実査は作業服で
「地方で独立している不動産鑑定士」という条件での実査は「作業服」がベストです。
都心の企業内鑑定士はパリッとしたスーツを着てますが(私もサラリーマン時代はスーツを着てました)、地方で独立すれば作業服を着る機会が増えます。もちろん、依頼者にご同行いただく場合などは、失礼の無いようスーツを着ることもありますが、単独で実査、法務局調査、役所調査を行う場合などは、効率面を重視して作業服にしています。
ついでに申しますと、個人的には事務所で作業するときも、作業服を着ていることが多いです。なぜなら、不動産鑑定士のワークスタイルは外出とデスクワークが半々なので、その方が着替える手間が省けるからです。
話を戻しますね。地方の不動産鑑定士が実査で作業服を着る理由はいくつかありますので、その理由について後述していきます。
作業服なら環境に溶け込める
人通りの少ない住宅地で、スーツで歩いている人は、ほとんどいません。ごく稀に、個人宅を営業にまわるセールスマンがいるくらいでしょうか。いずれにしても、地方の住宅街で昼間からスーツでウロウロしていると、「あの人、何してるんだろう?」と思いませんか?けっこう目立ちますよね。
一方、道路や家の修繕などで作業服を着てる人はどうでしょうか?けっこう見かけると思います。作業服なら環境に溶け込んでいて目立ちません。
服装の工夫だけで避けられるトラブルならば、事前に要因を排除した方が得策です。
作業服はポケットが多い
これらの小物類を、いちいち鞄から取り出すのは非常に面倒です。鞄ではなく、作業服のポケットに収納できた方が取り出しやすく、機能的です。鞄さえ持たず、実査はポケット収納だけでも十分なケースもあります。鞄が不要となれば身軽に実査ができ、さらに小物をたくさん持てて、しかも取り出しやすい。
作業服には基本的にポケットが多く付いてますので、実査との相性が非常に良いです。
作業服は機能的である
また、物件周辺や事例を見るため、かなりの距離を歩くこともあります。夏場など汗だくになりますし、革靴もすぐにすり減ってしまいます。高価なスーツや革靴だと気になりますよね。
一方、作業服であれば、多少の汗や汚れは気になりません。最近では、撥水性があり水を弾く素材や、泥や土の汚れも付きにくく落ちやすい素材も販売されてます。通気性もよく、夏場でも蒸れません。
作業服なら汚れを気にしなくてもよいので、実査にも集中できるというメリットが生まれます。
終わりに
最近はキャンプや園芸などのアウトドア系のレジャーが流行りですので、作業服のデザインも充実してきました。値段も手頃で、例えばワークマンなどで上下セット数千円で購入できます(ユニクロでの発売開始も期待してます!)。つい衝動的に買ってしまいそうになりますが、不動産鑑定士の実査用であれば、基本的に「春・夏・秋用」、「冬用」の計2着があれば十分です。
ご参考までに、私の愛用している春・夏・秋用(向かって左側)、冬用(同右側)の作業服はこちらです。写真には写っていませんが、ズボンにもポケットがたくさん付いてます。
作業服を着て実査をしている不動産鑑定士を見かけたら(不動産鑑定士は少ないので、見かけることはほぼないとは思いますが)、そっと見守ってくださいませ。
以上、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
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