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宅地建物取引業の免許を取得しました

宅地建物取引業の免許を取得しました

2023年5月、当社は宅地建物取引業(以下、宅建業)の免許を新たに取得しました。これにより、不動産鑑定業に加え、宅建業のサービスも提供できるようになりました。

不動産鑑定士と宅建士は、不動産業界の二つの主要な専門職であり、それぞれが独自のスキルと専門知識を持っています。不動産鑑定士は不動産の価値を専門的に評価し、その専門性は不動産取引において非常に重要な役割を果たします。一方、宅建士は、不動産売買・賃貸契約などの実務に関する幅広い知識を持ち、不動産の売買や賃貸における様々な問題を解決する上で力を発揮します。

今回は、不動産鑑定士が宅建士の仕事を兼ねる利点を3つに分け(①詳細な不動産価値評価の提供、②取引の信頼性向上、③複雑な取引の専門的対応)、それぞれご紹介していきたいと思います。

詳細な不動産価値評価の提供

不動産鑑定士が持つ大きな強みの一つは、詳細かつ精緻な不動産価値評価を提供する能力です。これは、物件の価値を正確に評価し、市場価格を適切に設定するための重要なスキルです。

では、具体的に何が不動産価値評価の詳細さと精緻さを生み出すのでしょうか。

深い市場理解

不動産鑑定士は、市場の複雑さを鑑定評価に反映する能力を持っています。常日頃から様々なデータを収集して最新の市場動向を把握していますので、物件の供給と需要の動向、不動産価格のトレンド、地域ごとの市場状況などの微妙な変化を捉えることが可能です。

また、特定の地域の経済状況、地価、開発計画、交通アクセス、生活環境などの情報を詳しく把握するほか、政策や法規制の変化、新しいテクノロジーの影響など、不動産市場に影響を与える要素にアンテナを張り、物件の評価に落とし込みます

この深い市場理解は、不動産取引において非常に重要なポイントとなります。

物件の詳細な調査

不動産鑑定士にとって、物件の詳細な調査が職務の中心的な部分です。物件の実態を把握し、それを基に適切な鑑定評価を行うためには、詳細な調査が不可欠です。

物件の調査は、その物理的な条件、権利関係、法的な状況、経済的な状況などを把握するために行います。物理的な条件とは、物件の規模、構造、設備、状態、立地などを指します。これらの情報は、物件の使用可能性、維持費用、耐用年数などを評価するために重要な要素となります。

また、法的な状況の調査では、物件の所有権、土地利用の制限、建築規制、税務などを確認します。これらは、物件の利用可能性や取引の条件を確認するために必要となります。経済的な価値の調査では、物件の現在の市場価格、将来の価格予測、周辺地域の市場動向、物件の収益性などを分析し、物件の投資価値や取引価格の参考にします。

これらの詳細な調査により、不動産鑑定士は物件の実態を把握し、その価値を適切に評価することができます。それらの情報は、不動産取引において最も重要なものになります。

専門的な評価方法

不動産鑑定士は、不動産の価値を評価するために様々な専門的な方法を用います。具体的に見ていきましょう。

●原価法
物件を新築するための費用(再調達原価)や、物件の耐用年数に応じた減価率を考慮し、物件の価値を評価します。原価法は、再調達原価や減価率を適切に把握できる場合に有効です。

●取引事例比較法
近隣の類似物件の売買価格や賃料を比較し、物件の市場価格を評価します。取引事例比較法は、市場に類似物件が豊富に存在する場合に特に有効です。

●収益還元法
物件から得られる将来の収益を現在価値に換算することで、投資物件の価値を評価します。収益法は、主に賃貸物件や商業施設などの投資物件の評価などに適用します。

●DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)
物件から将来にわたって生じるキャッシュフローを予測し、それを現在価値に換算することで、物件の価値を評価します。投資のリターンやリスクを詳しく分析するため、証券化対象不動産の評価などに適用します。

他にも手法がありますが、今回は割愛します。これらの評価方法を適切に組み合わせることで、不動産鑑定士は物件の価値を評価します。

鑑定を活用することにより、売主は適正な価格設定が可能となり、買主も価格に対する信頼性を得ることができます。これは、通常の宅建士が提供するサービス以上の価値を提供し、不動産取引をより安全かつ公正なものにします

取引の信頼性向上

不動産取引は、売主と買主双方にとって大きな経済的意義を持つ重要な取引です。そのため、取引の信頼性を確保することが非常に重要です。

不動産鑑定士かつ宅建士が取引に関わる場合、その取引の信頼性は大きく向上します。では、それがどのように可能となるのでしょうか。

公的資格の保有

不動産鑑定士と宅建業者は、それぞれが公的資格を保有することで、不動産業界における専門性と信頼性を確立しています。

不動産鑑定士は、三大難関国家資格と言われる国家試験に合格し、厳しい研修を経て資格を取得します。そのため、物件価格の専門的な評価方法や不動産市場の理解、そして不動産に関連する法律・規制の知識を持っています。この資格を保有しているということは、専門的な知識と技術を有していることを証明し、その評価結果に一定の信頼性があることを保証します。

一方、宅建業者は、宅地建物取引業法に基づく国家試験に合格し、資格を取得します。これにより、不動産取引に関する法律、契約書の作成方法、顧客への説明義務などを熟知しています。また、公正な取引を確保するための義務も負っています。

これら2つの公的資格を持つことで、不動産取引における専門的な情報を得られるだけでなく、取引の信頼性と透明性も保証されます

公正な評価

不動産鑑定士は公的な資格を保有する専門家として、公正で透明な評価を提供することが求められています。これは、不動産取引における重要な役割であり、お客様が安心して取引を進めるための基盤となります。

公正な評価とは、物件の実態と市場状況に基づいた、偏りのない価値評価を指します。これは物件の条件、地域の市場動向、法的な状況など、様々な情報を総合的に考慮し、評価方法も原価法、取引事例比較法、収益還元法、DCF法など、適切なものを選択し適用します。

つまり、不動産鑑定士の公正な評価は、売り手と買い手、または大家とテナントの間に公平な価値認識を生み出す役割を果たします。これは、不動産取引全体の効率性を高め、市場の信頼性を維持するために不可欠な要素です。

また、不動産鑑定士はその評価結果を報告書として鑑定評価書を提供します。鑑定評価書は、不動産市場の公正さと透明性を維持するための重要な役割を果たします。

リスクの軽減

不動産鑑定士と宅建士の専門的な知識とスキルを活用することで、不動産取引や投資に関するリスクを軽減し、より安心して取引を進めることができます。

●価格の不適切さ
不動産鑑定士による適切な価格評価は、物件を過大評価または過小評価するリスクを軽減します。これにより、適正価格で取引を行うことが可能になり、その結果、損失のリスクを避けることができます。

●市場の変動
不動産鑑定士は市場の動向を理解し、将来の市場の変動に対するリスクを評価に反映することができます。これにより、市場の変動による損失のリスクを避け、または適切に対応することができます。

●情報の非対称性
不動産鑑定業者と宅建業者は、物件や市場に関する詳細な情報をクリアにご提供します。これにより、情報の非対称性によるリスクを避けることができます。

複雑な取引の専門的対応

不動産取引は、単純な売買だけでなく、多くの場合は複雑な要素を含むものです。法律や規制、税務、金融など、多様な知識が求められます。不動産鑑定士が宅建士の仕事を行う場合、その専門的な知識と技術を駆使して、これら複雑な取引に対応することができます。

具体的に、どのような対応が可能なのか見ていきましょう。

法律・規制の適用

不動産取引は、多くの法律・規制によって統治されています。不動産鑑定士と宅建業者は、これらの法律・規制を適用し、適切に対応することで取引をサポートします。

●不動産鑑定に関する法規
不動産鑑定士は、物件の価値を評価する際に、不動産鑑定基準などの法規に基づきます。これにより、評価結果は公正かつ透明で、その信頼性が保証されます。

●不動産取引に関する法規
宅建業者は、宅地建物取引業法などの法律を適用します。これらは、物件の広告、契約書の作成、取引の説明など、不動産取引の各段階で適用されます。また、不適切な取引を防ぐための規制も適用されます(当社は弁護士とも連携しております)。

●土地利用に関する法規
土地利用や建築に関する法律、例えば都市計画法や建築基準法なども重要です。これらの法規は、物件の利用可能性や開発可能性を規定し、その価値に影響を与えます。不動産鑑定士は、これらの法規を確認し、物件の潜在的な価値やリスクを評価します。

●税法
不動産取引や投資には、固定資産税、登録免許税、不動産取得税など、様々な税法が適用されます。これらの税負担は、取引の経済性を大きく影響します。個別詳細は、税理士への相談が必要となります(当社は税理士とも連携しております)。

複雑な価格設定

不動産の価格設定は、多くの要素と専門的な知識を必要とする複雑なプロセスです。不動産鑑定士は、このプロセスの中で、公正かつ正確な価値判断を行います。

価値判断における最初のステップは、物件の詳細な調査です。物件の状態、立地、周辺環境、土地利用規制など、多くの要素が価格に影響を与えます。これらの情報を詳細に収集し、適切に評価することが求められます。

次に、市場の分析を行います。同様の物件の取引価格や市場の動向、供給と需要の状況など、市場の情報が価格設定に重要な役割を果たします。また、経済の全般的な動向や未来の予測も考慮します。

さらに、価格設定には専門的な評価方法が用いられます。原価法、取引事例比較法、収益還元法、DCF法など、物件の特性や市場状況に応じて最適な方法を選びます。これらの評価方法は、専門的な知識とスキルを必要とします。

最後に、調査結果は詳細な鑑定評価書として提供します。これにより、価格設定の根拠が明確になることで、その公正性と透明性が確保され、信頼性の高い情報に基づいて不動産取引を行えます

多様な金融対応

不動産取引における金融対応は、購入や投資にとって重要な要素であり、宅建業者の専門的な役割の一部です。

●金融機関との調整
金融機関との関係は不動産取引において重要な役割を果たします。多くの場合、物件の購入は住宅ローンなどを通じて資金調達されます。宅建士は、金融機関との間で最適な条件の交渉をサポートします。

●融資の対応
不動産の価格評価は、ローンの認可や利率設定に直接影響を与えます。不動産鑑定士の鑑定評価は、金融機関がリスクを評価し、公正な融資条件を提供するのに役立ちます。

●リスク管理
不動産取引や投資は、金利変動、市場の変動、物件の価値変動など、多くの金融リスクを伴います。宅建業者と不動産鑑定士は、これらのリスクを理解し、適切な対策をご提案します。

まとめ

不動産鑑定士が宅建士の仕事を兼ねる利点を3つに分け(①詳細な不動産価値評価の提供、②取引の信頼性向上、③複雑な取引の専門的対応)、それぞれご紹介しました。これらはサービスの品質と効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。

特に、一般的に興味関心の高い「物件の価値評価」という高度な専門技術が求められる領域において、お客様のニーズを満たすことができます。これらの鑑定スキルは、不動産取引をより安全に、かつ効率的に進める一助となり、リスクを最小限に抑えることができます。更に、法律や規制への理解により、取引の公正さと透明性が保証され、安心して不動産取引を行うことにつながります。

不動産鑑定士と宅建士を掛け合わせることにより、不動産鑑定におけるサービスの質が高まり、また、信頼性の高い不動産取引も支援できると確信しています。

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