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【寄稿】「千葉市・真価が問われる幕張新都心」停滞期脱却、飛躍の兆し

【寄稿】「千葉市・真価が問われる幕張新都心」停滞期脱却、飛躍の兆し

※本記事は、中田が住宅新報「全国の地価~その軌跡と変わる街」(2015年2月24日号)に寄稿した記事を、WEB用に転記したものです。

首都圏ベイエリアの一翼を担う千葉市・幕張新都心は、東京都心と成田国際空港の中間に位置し、未来型国際交流都市として「職・住・学・遊」の一体的な集積を目指している。

1989年の巨大展示場「幕張メッセ」開業を皮切りに新都心がスタートした。

同時期に誕生した新都心に「横浜みなとみらい21」と東京臨海副都心「お台場」がある。これらの地価水準を比較すると、幕張新都心は大きく水をあけられている。

1万人の住宅地計画

1万人の住宅地計画
しかし、首都圏への至便性やインフラ整備状況を考えると、幕張新都心のポテンシャルは高く、更に発展する余地は多分にある。

例えば住宅地。東京、横浜よりも地価が安く、イオンモールやアウトレットがあり衣食住にかかる価格が手頃だ。その価値に着目し、京葉線沿いにある約34万㎡の広大な空地は、首都圏最大級の住宅地として1万人が入居する一大プロジェクトが計画されている。

勤務地としても都心への接近性や建物グレードの高さと賃料の相対的割安感から、進出する企業が増えつつある。JR海浜幕張駅にはJR京葉・東京臨海高速鉄道りんかい線直通計画があり、開通すれば都心勤務が格段に便利になる一方、都心からのアクセスも飛躍的に向上する。

また、バブル崩壊後、次々と企業が撤退していった駅前商業地は、活気を取り戻すかのように「三井アウトレットパーク幕張」をはじめとする大型店舗が続々と進出。拡大地区ではイオン本社のお膝元に旗艦店「イオンモール幕張新都心」が開業した。国内最大級のこの施設は、開業1年目の来店者が約3100万人と、「東京ディズニーリゾート」の来園者と同じだった。

さらに、地元企業が費用を負担する請願駅としてJR京葉線海浜幕張-新習志野駅間の新駅構想もある。実現すれば、効果は地域全体に広がるであろう。

荒波に揉まれても

荒波に揉まれても
かつては未来都市として大きな期待を背負って開業した途端にバブルが崩壊し、その後は停滞と小幅な発展を繰り返していた。さらに追い打ちをかけるように、東日本大震災では臨海部の埋立地であるがゆえの液状化が発生し、その被害は深刻なものだった。

荒波に揉まれながらも、尽きることなく開発を続け、”新しい都市”として変ぼうを遂げてきた幕張新都心。人の流入が増えつつある今はまさに転換点。景気回復を追い風にして、その進化を発揮しようとしている。

(執筆)不動産鑑定士・中田敏之



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