意見書
路線価と時価が乖離している土地
相続税路線価は、大量一括評価であること等から時価と乖離しているケースもございます。
この場合、個別評価である鑑定評価を取得することで、売買時の交渉を有利に進めたり、相続時には大きな節税につながることもございます。
可能であれば、不動産鑑定士の意見も参考になさってみてください。
解決事例 CASE STUDY
今回は、個人のお客様が住宅地の更地の取得を検討されている際、不動産会社による売値が相続税路線価を80%で割り戻した価格(※)より高くなっていたケースをご紹介します。
対象不動産の規模が大きく、総額が嵩むことから、不動産会社の無料査定に「本当に大丈夫なのか?」とご不安になられており、当社にご相談いただきました。
(※)相続税路線価は、原則として時価の80%の水準が目安となっています。
解決策 SOLUTION
今回のようなケースでは、まずは「路線価とは何か?」という、相続税路線価の考え方からご理解いただきました。
相続税路線価は「地域の標準的な北向きの中間画地の土地単価」を表しています。
あくまで標準的な土地が対象になっているため、個別の対象不動産との比較では、乖離が生じることがあります。
例えば路線価とズレが生じる場合、次のような個別的要因が考えられます。
●規模(規模が大きいほど単価は低くなる)
●地形(不整形地ほど単価は低くなる)
●方位(道路接面が南に向くほど単価は高くなる)
●多方路地(角地、2方路などは単価が高くなる)
つまり、「規模が大きいから、路線価より安い」、「角地だから路線価より高い」といったケースです。
※駅近であれば高くても買う人が一定数おり、需要者が競合し価格が高騰するため、路線価と乖離するケースも発生し得ます。
※地域の住環境、危険施設への接近性なども考えられますが、基本的に路線価も同様のため、これらの要因の影響は薄くなります。
今回のケースでは対象不動産の規模が大きく、総額がかさむことから市場性が減退し、土地単価が低くなるという状況でした。
この為、不動産会社業者の売り出し価格よりも実際の時価は低くなるということをお伝えさせていただきました。
気をつけたいポイント POINT
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不動産会社の売り出し価格は当初高く設定し、徐々に下げていくのが一般的です。
これは売主の意向に配慮したり、業者の仲介手数料も考慮しているためです。
当初から適正価格を把握されたい場合には、できれば不動産鑑定を取得することをおすすめしております。 -
不動産相続の現場では、財産評価基準にもとづく評価が基本ですが、無道路地や高低差が大きい画地などの特殊なケースでは、相続税評価が時価(鑑定評価)を上回るケースも見られます。
鑑定評価を取得することで節税につながることもございますので、不動産鑑定士にご相談のうえ、経済的メリットがどちらが大きいのか両者を天秤にかけ、判断されてみてください。
なお、当事務所では、概算段階で節税につながらないと判断される場合、鑑定は不要である旨をお伝えさせていただきます(相談・概算は無料です)。